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令和4年(2022年)3月10日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 中川俊男会長は3月9日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の感染状況及び、新型コロナの症状や罹患後症状(いわゆる後遺症)に対する所見を述べた他、東日本大震災の発災から11年目となることを踏まえ、引き続き被災地支援に取り組む姿勢を改めて表明した。

【感染状況について】
 感染状況に関しては、全国の1週間の新規感染者数は前週より若干減少し、病床使用率もわずかに減少しているものの、重症病床使用率はほぼ横這いで、医療提供体制は依然として厳しい状況にあるとの認識を示した。

 また、ワクチン接種率が5%を超えた2月上旬以降に新規感染者数が減少傾向に転じていることにも言及し、「ワクチン接種が進むことで感染が縮小する可能性もある」として、引き続きワクチン接種の拡大に努めていくとした。

 更に、(1)医療機関の現場感覚では、発熱の受診相談の電話件数自体は少なくなる一方で、発熱している子どもからの感染が広がっているケースが多くみられる、(2)厚生労働省のデータでは、2月23日~3月1日の1週間の全国の新規感染者数の約2割が10歳未満で占められている―こと等を報告。「小児のワクチン接種も本格的に開始されているが、本人の重症化予防・発症予防だけではなく、家族や周囲の方への感染を防ぐ観点からも、ワクチン接種を受けて欲しい」と呼び掛けるとともに、医療的ケア児に関しては、早めに接種が受けられるよう自治体に配慮を求めた。

 その一方で、中川会長は、「ワクチン接種は、受けるご本人や小児の場合は養育者の方も、納得して受けることが原則である。接種を強要したり、逆に接種を受けさせないように妨害したりすることがあってはならない」と強調。「小児へのワクチン接種について、不安や疑問があれば、まずはかかりつけ医に相談して欲しい」と述べるとともに、日本医師会公式YouTubeチャンネルでワクチン接種の啓発動画「進めよう!ワクチン接種」を公開していることを改めて紹介した。

【新型コロナの症状や罹患後症状(いわゆる後遺症)などについて】
 オミクロン株に感染した場合に重症化に至るケースについて、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会から注意喚起が出されていること、後遺症については、発熱、呼吸困難などの主な症状が回復しても、認知機能の低下や心疾患のリスクが高まることを『ネイチャー(nature)』(3月7日公開)に掲載されたオックスフォード大学などによる研究論文や『ネイチャーメディスン(nature medicine)』2月7日公開)に掲載された米国退役軍人省のデータベースを用いた論文を紹介しながら説明。オミクロン株については、感染してもほとんど軽症で済んでしまうため、感染症法上の取り扱いをインフルエンザと同じ扱いに見直すべきとの意見があることに対しては、「外国の研究論文で示されているように、後遺症がみられるだけでなく、致命率が高いことが明らかとなっている。感染症法の分類について、5類に変更するのではなく、現在の新型インフルエンザ等感染症という位置づけのままで、必要であれば保健所の役割の見直しなどを行うなどの運用変更で対応するべき」との考えを示した。

【東日本大震災について】
 東日本大震災から11年になることを踏まえ、犠牲になられた方々に哀悼の意を示すとともに、被災地で長きにわたり復旧にご尽力されてきた人々に対する敬意を表し、「日本医師会としても引き続き、できる限りの支援をしていきたい」とした。

 また、日本医師会は、震災の教訓を風化させず次の「大規模災害への備え」に活かしていくべく努めてきたとして、(1)日本医師会災害医療チーム"JMAT"の活動も全国の都道府県医師会等の協力を得ながら体制強化を図っている、(2)3月13日にはJMATの基本編研修をオンラインで、3月18日には鹿児島県桜島の噴火災害を想定した災害時情報通信訓練を行う、(3)『新型コロナウイルス感染症時代の避難所マニュアル』を改訂し、今月中に第2版を公表するとともに出版も行う―ことを紹介。「こうした活動が災害で犠牲になられた方々への報いになる」として、日本医師会の対策をより強化し、深化させていくとの姿勢を示した。

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 なお、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からの注意喚起については、橋本省常任理事がオミクロン株の感染において、咽頭、気管の発赤や腫脹、白苔など高度な炎症が見られる症例や急性咽頭蓋炎等により上気道狭窄を呈し気道確保を要した症例などが寄せられているとし、その診断には内視鏡が必要であり、通常の診察では分からないこと等を詳細に説明。「吸気時の息苦しさ、嗄声、強い喉の痛みを訴えるのに咽頭の発赤が見られない場合などには、専門科へ紹介して欲しい」と述べるとともに、救急搬送時には高度医療機関に搬送することなどを呼び掛けた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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