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令和4年(2022年)9月5日(月) / 南から北から / 日医ニュース

知的競技としての麻雀

 私が麻雀にはまったのは高校生の頃で、とある漫画がきっかけでした。麻雀は「見える領域と見えない領域があり、4人それぞれの意思や感情で結果が左右される」という、言わば不完全情報ゲームであるところに魅力を感じました。覚えたての頃はとにかく強くなりたくて、自分の部屋に麻雀牌を用意して、1日中考えていました。
 高校2年生の時、友人と「競技麻雀同好会」を作ろうとしたことがありました。とある先生に「同好会の顧問になってもらいたいです」とお願いをしにいったところ、その先生はこう言いました。「麻雀は私も大好きで、お金を賭けなければ立派な知的競技だと思います。しかしながら賭け事のイメージが強いので、高校のサークルとして認めることはできません」と諭されました。とても残念でしたが、「知的競技」という表現をしてもらえたことがとてもうれしかったことを覚えています。
 大学に入学後は麻雀好きに拍車が掛かりました。大学3年の頃、「雀鬼(じゃんき)」と言われる桜井章一さんが開設している道場に行きました。雀鬼流麻雀はお金を賭けることはせず、競技麻雀と言って良いと思います。12時間くらい稽古をつけて頂き、帰ろうとした時にふと、桜井さんが書いていたノートが目に留まりました。そこには「今日栃木から来た彼は、自信が前面に出ていて麻雀に対する驕(おご)りが見える。謙虚にならなければいけない」と記されていました。自分が強くなって勝つことばかり考えてきたので、全てを見透かされたような衝撃が走りました。その後は自分勝手な麻雀をやめ、全体の和を考えて打つことを心掛けるようになりました。
 翌年、とある雀荘で知り合った麻雀プロに「プロ試験を受けてみないか」と誘われました。プロ団体はいくつかあり、その中でも1日で試験が終わる団体を受験してみました。筆記・実技・面接という内容で、後日電話があり合格とのことでした。筆記が満点だったようです。しかし、東京で毎月行われる定例会やリーグ戦に毎回参加することは、病棟実習や試験等があり困難でしたので、悩んだ末に辞退しました。合格は素直にうれしかったですが「合格=自分は麻雀が強い」とは思えませんでした。麻雀プロテストは、実力よりも、牌効率(はいこうりつ)等の知識や対局マナーが重視されるからです。
 約20年も前の話をしてしまいました。さて、昨今は新型コロナの影響で麻雀は全くできていません。コミュニケーションの場でもありましたので寂しいですが、まだしばらくはやむを得ないでしょう。いつかまた、気兼ねなくできる日が来ることを祈っています。

(一部省略)

秋田県 秋田医報 NO.1596より

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