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令和4年(2022年)10月20日(木) / 日医ニュース

武見国際保健プログラムで学んでみませんか

武見国際保健プログラムで学んでみませんか

武見国際保健プログラムで学んでみませんか

 ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院武見国際保健プログラムでは、今年もフェローを募集している。
 今号では、自身もフェローとしてプログラムで学んだ経験のある今村英仁常任理事にプログラムの魅力について説明してもらった。

 今期、日本医師会常任理事に就任しました。1999年から2000年にかけて日本医師会が支援する武見プログラムに参加したのですが、このプログラムに参加していなければ、今回の役員就任はなかったとも言えます。
 まず、武見プログラムについてご存知の方はどれくらいおられるでしょうか? このプログラムは、武見太郎元日本医師会長がハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)のハワード・ハイアット学長と対談した際、「これからの医療提供を考えるには、いかに医療資源を開発していくか、そしてその医療資源をどのように配分するか(医療資源の開発と分配)が大事である」ということを述べたことに同学長が感銘を受け、1983年、HSPHに寄付講座として設立されたのが始まりです。
221020g2.jpg 武見プログラムは、令和5年に設立40周年を迎えます。存在意義が乏しくなると即、講座が閉鎖される傾向にあるHSPHのプログラムの中でも、40年も継続している寄付講座はこのプログラムだけです。
 世界中から未来の自国・世界の保健医療を担う精鋭が集まる大学院レベルの学際的プログラムですが、HSPHのいろいろな授業を受けられ、さまざまな優れた教授陣と議論を交わせることができるのが魅力の一つです。
 私のテーマは、「医療経営者の日米比較」でした。当時日本では、「マネジドケア医療革命」(西田在賢著)がベストセラーとなり、米国のマネジドケアの仕組みを日本でも取り入れれば薔薇(ばら)色の社会保障制度を構築することが可能であるといった論調が強くなった時期でした。「米国で本当にうまくいっているのか直に確かめたい」との希望がきっかけで応募しました。
 結果は、英語で苦労しましたが、「百聞は一見に如かず」、想定をはるかに超えるもので、留学して正解でした。日本の医療システムと米国のそれは確かに異なるのですが、どの程度異なるかは日本でどれだけ文献を読んでも理解することは困難です。むしろ、日本の知識・経験から想像する分、バイアスが掛かり、解釈を誤りかねません。
 日本の医師資格を持っていても、米国の医師国家試験に合格しなければ米国で診療をすることはできませんが、リサーチフェローとして医学研究を行うために米国留学することは可能です。
 ただ、公衆衛生や社会医学といった分野で米国留学するのは必ずしも容易ではありません。特に、この分野で奨学金を提供しているプログラムはほとんどありません。
 日本の社会保障制度改革の必要性が議論される昨今、医療提供者としてこの問題に取り組むためには、公衆衛生や社会医学の知識が役立ちます。
 最近、日本でもようやく公衆衛生大学院が設立されてきましたが、提供できる講座の多さやレベルの高さは米国の方がはるかに優れています。そして何よりも、日本にいながら日本の医療システムを客観的に判断することは難しく、他国から日本を見ることにより、いかに日本の社会保障制度が優れているか、そして、未来の日本人のために持続可能なシステムとするにはどうすれば良いのか考えることができると思います。
 将来の日本の社会保障制度について不安を感じる若手の医師会の先生方には、ぜひ武見プログラムに参加してもらい、制度改革の一翼を担って頂きたいと願っています。
 日本医師会では若手医師会員の武見プログラム応募を別掲のように募っています。
 少しでも興味が湧きましたら、ぜひ、日本医師会までご連絡下さい!

応募資格:原則として40歳未満の医師または保健医療分野の研究者。ただし、現在米国に滞在中の方、他の団体等から奨学金を受けている方は、応募対象となりません。
派遣期間:令和5年8月~令和6年6月(11カ月)
募集定員:2名まで
派遣費用:往復旅費、滞在費の一部支給
応募期限:令和5年1月13日(金)
応募先:日本医師会国際課(TEL:03-3942-6489、E-mail:jmaintl@po.med.or.jp

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