令和5年(2023年)5月20日(土) / 日医ニュース
評価受審のポイントおよびC-2水準に関する説明会 新制度開始に向けて医療機関が行うべきこと等について説明
医療機関勤務環境評価センター
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医療機関勤務環境評価センター(以下、センター)の「評価受審のポイントおよびC-2水準に関する説明会」が4月21日、WEB形式で開催された。
説明会は城守国斗常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、新制度が開始される2024年4月に向けて、医師の労働時間短縮への取り組みを行う医療機関への支援を今後も続けていく姿勢を示すとともに、本説明会が医師の勤務環境の改善を進めていく一助になることに期待感を示した。
引き続き、議事に移り、城守常任理事がまず、医師の働き方改革の概要を説明。そのうち、C-2水準については、「現在の医療の質を維持・向上する意味からもその位置付けはB水準とは異なるものであり、該当する技術は高度な医療に限られているわけではない」として、理解を求めた。
2024年4月に向けて、全ての医療機関に求められる取り組みとしては、(1)医師の労働時間の把握、(2)36協定の締結、(3)面接指導実施体制の整備―があると説明。(1)については、副業・兼業先の勤務予定と労働時間の把握が必要になるとして、医師が申告する仕組みとその申告を受ける仕組みの両方の整備を要請した。
また、宿日直許可については、センターへの受審の際には、宿日直許可書があった場合でも、「宿日直を行った日の労働時間が確認できる勤務実績表、または当直表と宿日直を行った医師の時間外手当の申請書」「宿日直許可の有無に応じた時間外・休日労働時間が記載されていること」が必要として注意を呼び掛けた。
その他、自己研鑽(けんさん)については、①医局内で十分に話し合い、検討した上でその取り扱いを各医療機関で明確化、明文化している②医師だけでなく、医療機関内の他の職種を含めて周知している―ことが必要になるとした。
(2)に関しては、協定締結に当たって求められる労働者側の過半数代表者の選出について、受審の評価に当たっては代表者を選出しているだけでなく、代表者の選出方法や結果等の記録が求められるとして、理解を求めた。
また、(3)については、面接指導実施医師になるには産業医であっても所定の養成講習会を受講する必要があるなど、従来の労働安全衛生法の面接指導とは別の枠組みが求められていることなどを紹介した。
B、C水準の指定申請を行う医療機関に更に求められる取り組みとしては、①医師労働時間短縮計画(案)の作成②連続勤務時間制限・勤務間インターバル規制等への対応―等に言及。①に関しては、「計画の対象となる医師を明確化する」「現時点では未達成または取り組み中であっても、実施時期を定めて取り組みを行うことが予定されているものについては、時短計画に記載する」ことなどが重要になると説明。更に、②については、体制整備を進める必要性について解説した。
その他、城守常任理事はセンターへの書面審査の受審に当たっての留意点として、「添付資料には、『取組状況』欄に記載した内容に対応する箇所がサーベイヤーに分かるようにする」などの配慮を要請。申請の時期については「少なくとも今夏までにお願いしたい」として、協力を求めた。
藤川葵厚生労働省医政局医事課医師等医療従事者働き方改革推進室室長補佐は、(1)臨床研修プログラムで研修を行う医師、(2)基本19領域の専門研修プログラムで研修を行う医師、(3)基本19領域の専門研修プログラム修了後の医師―それぞれに必要な医師の働き方改革における対応を説明した。
(1)では、「研修医療機関における時間外・休日労働想定最大時間数」の書き方として、「臨床研修医と雇用契約を締結しない病院」や「研修協力施設」などは記載しなくて良いことなどを解説した。
(2)では、基本領域プログラムの労働時間の登録に当たって、基本領域学会の承認行為を挟まず、日本専門医機構による労働時間数等の審査もない形で入力できるよう、日本専門医機構と交渉中であることなどを紹介した。
また、(3)では、専攻医を卒業した医師の技能研修のために長時間労働が必要な場合に適用されると説明するとともに、「申請に当たっては、C-2審査・申請ナビに掲載の令和4年度審査で承認された、審査申請書の記載例などを参考にして欲しい」と述べた。
長時間労働医師に対する面接指導の体制整備については、医師が副業・兼業を行っている場合、主たる勤務先で面接指導を実施し、面接指導の結果を証明する書面を副業・兼業を行っている医療機関に提出すれば、面接指導は実施済みとみなされることなどを概説した。
なお、今回の説明会の動画は、日本医師会ホームページのメンバーズルームに掲載されているので、ご参照願いたい。