世界医師会(WMA)ナイロビ理事会が、4月20日から22日を会期として対面形式でケニアにて開催され、日本医師会から、WMA理事として角田徹副会長(WMA理事会副議長)、今村英仁常任理事、原祐一日医総研副所長(松本吉郎会長代理)、ジュニアドクターズネットワークから岡本真希医師が出席した。全体の参加者は、約40加盟医師会及び国際機関等から約200名であった。
理事会に先立ち、19日には角田副会長がWMA理事会副議長として財務担当グループ及びWMA役員会に、今村常任理事がヘルシンキ宣言改訂作業部会にそれぞれ出席した。
理事会では冒頭、本年4月から2年間を任期とする役員の選出が行われ、理事会議長に韓国医師会のジュン・ユル・パク副会長、財務担当役員にドイツ医師会のルドルフ・ヘンケ理事がそれぞれ新たに選出された。理事会副議長には、角田副会長が再選された。
また、オトマー・クロイバー事務総長より、日本医師会によるウクライナ医療支援金2億1300万円の追加送金(別記事参照)が報告され、議場から感謝の意が示された。
議事では、緊急案件として、「スーダンでの即時かつ効果的な停戦とヘルスケアの保護を求めるWMA理事会決議」等が採択され、プレスリリースされた。
理事会における主な審議結果は下記のとおりである。
理事会での主な審議結果
(1)緊急決議
「スーダンでの即時かつ効果的な停戦とヘルスケアの保護を求めるWMA理事会決議」
スーダンで軍と独立準軍事組織である即応支援部隊との間で激しい戦闘が発生し、水、電気、医薬品が不足し、病院が閉鎖されていることを踏まえ、WMA理事会として、病院や医療施設が紛争の標的になってはならないことを警告するとともに、アントニオ・グテーレス国連事務総長による即時停戦の呼び掛けを支持し、暴力を終わらせ、秩序回復のための取り組みへの支援を呼び掛けている。
「ウガンダにおける反LGBTQ法に関するWMA理事会決議」
ウガンダ大統領に対し、同国国会で可決された特定の同性愛行為者を死刑とする「反同性愛法案」に拒否権を行使して法制化を阻止すること、構成メンバーに対し、同法案及び類似の法律を非難することを呼び掛けている。
「欧州人権裁判所(ECHR)規則第39条の差し止め暫定措置を無視する移民の扱いについての英国での法案に関するWMA理事会決議」
英国政府が、移民の扱いに関連してECHR規則第39条に基づいて発効された差し止め暫定措置を、閣僚が無視できるようにする法案を提案した。
WMAは、亡命希望者、移民、及び医療従事者に対する保護が取り除かれることになるとして、重大な懸念を表明している。
(2)医の倫理委員会関係
新委員長に、アイスランド医師会のステイヌン・トルダルドッティル会長が選出された。
また、ヘルシンキ宣言改訂作業部会議長より、アジア、ラテンアメリカに引き続き地域会議を開催し、議論していくとの報告があった。
(3)社会医学委員会関係
新委員長に、イスラエル医師会のジオン・ハガイ会長が選出された。
(4)財務企画委員会関係
新委員長に、アメリカ医師会のジャック・レスネック・ジュニア会長が新たに選出された。
また、ニュージーランド医師会が2022年に清算のために退会したことから、加盟医師会数は115となった。
今後の会議開催日程:2023年10月4―7日キガリ総会(ルワンダ)、2024年4月18―20日ソウル理事会(韓国)、同年10月2―5日ヘルシンキ総会(フィンランド)
その他
19日にはドイツ医師会夕食会、20日にはアメリカ医師会昼食会、21日にはアジア大洋州医師会連合(CMAAO)昼食ミーティングをそれぞれ行い、意見交換を行った。