令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を受けて、「令和6年能登半島地震医療関係団体等緊急連絡会議」が1月4日に急遽、厚生労働省で開催され、松本吉郎会長は救急災害医療担当の細川秀一常任理事と共に出席し、医療界を挙げて、災害関連死の防止、被災者の健康管理をしていく必要性を強調した。
今回の連絡会議は令和6年能登半島地震に対して、関係者が連携して被災地支援に取り組むことを目的として、急遽行われたものである。
厚労省からは武見敬三厚労大臣始め、濵地雅一・宮﨑政久両厚労副大臣らが、医療関係団体等からは日本医師会の他に、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科医病院協会、日本透析医会、日本災害リハビリテーション支援協会、日本栄養士会、日本製薬団体連合会、日本医療機器産業連合会、日本医薬品卸売業連合会、全国社会福祉協議会が現地並びにWEBにより、出席した。
冒頭あいさつした武見敬三厚労大臣は、岸田文雄内閣総理大臣より、被災自治体などと連携を取り、被災者に対して、水、食料など必要な物資の支援をしっかり行うよう指示を受けたことを報告。厚労省としては、今後、(1)被災地の情報収集のため、厚労省から派遣する職員の増員を図る、(2)現地からのニーズに応じた医療提供体制の確保、医薬品の供給を行うため、関係団体との連携を密にする、(3)国民の不安をなくすため、メディアへの丁寧な説明、ホームページ等を通じた情報提供に努める-などを行っていくとした。
また、今回の避難所生活は長期化する恐れがあり、官民の連携によるきめ細かな対応が必要だと指摘。参加団体に対して、引き続きの協力を求めた。
続いて、浅沼一成厚労省医政局長から、現地の医療ニーズ、医薬品の供給状況を踏まえた1月4日時点での厚労省の取り組みを概説。更に、関係団体と情報共有を図るため、緊急連絡網やメーリングリストを作成する意向を示し、協力を求めた。
その後行われた各団体からの対応状況報告では、松本会長が日本医師会の取り組みや今後の方針として、(1)地震発生直後から自身を本部長とした「日本医師会災害対策本部」を立ち上げ、石川県内にいる佐原博之常任理事や被災県医師会と連絡を密に取ってきた、(2)馳浩石川県知事からの要請の下、1月3日に先遣JMATを被災地に派遣した、(3)道路状況が改善次第、輪島市や珠洲市など深刻な被害を受けた地域に、全国の都道府県医師会の協力の下、JMATチームを編成し、長期、大規模な派遣体制を組む方針である、(4)外国人患者への備えとして、JMATには電話やビデオによる医療通訳サービスを使えるようにする他、被災地の感染リスクに備え、日本環境感染学会と連携していく-などを説明した。
その上で、松本会長は避難生活が長期に及ぶことが想定されるとして、医療界を挙げて、災害関連死の防止、被災者の健康管理に努めることが必要だと強調、その際には、東日本大震災の際に日本医師会が事務局となって立ち上げた「被災者健康支援連絡協議会」の枠組みもあることを紹介した。
更に、今回の支援は地域のコミュニティ再建という視点で考える必要があるが、医療がなければそれも実現することはできないと指摘。東日本大震災の際には、岩手県医師会による陸前高田診療所への支援を数年間行ったことにも触れ、「このように長期間、手厚い支援活動を行うことができるのが医師会の強みであり、今回もしっかり頑張っていきたい」と述べた。
その他の団体からは、今後の課題として、「多くの被災者が車中で避難生活を続けていることを踏まえ、エコノミー症候群への対応」「インフルエンザの検査キットの不足」「避難者に対する精神的なケア」などが挙げられた他、国に対して、被災地へ物資を届ける車両へのガソリンの優先供給を求める意見も出された。
これらの状況報告を受けて、総括を行った武見厚労大臣は「被災者支援のためには、いかに官民がネットワークをつくり、連携していくことが大事になる」として、改めて厚労省によるネットワークづくりへの協力を求め、連絡会議は終了となった。
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日本医師会地域医療課 TEL:03-3946-2121(代)