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令和6年(2024年)4月5日(金) / 日医ニュース

The Oath of Hippocrates

 医学の神アポロン、アスクレピオス、ヒュギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。我、能力と判断に従い、この誓約を守ることを誓う。
 医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて必要ある時には助ける。師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を自らの息子、師の子ら、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも教えまい(中略)。
 この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう。しかし万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
 以上はかの有名な『ヒポクラテスの誓い』である。文字数の都合上、(中略)としたが、この前段の部分にあるように、医学(医術)の基礎は「師と弟子による徒弟制度」の中で起こる知識と技術の伝承である。
 師は弟子に自らの知識と技術を無償で教え、弟子はいずれ成長して師となり、更に自分より若い弟子に伝えていく。
 日本の医療現場において起こった「新臨床研修医制度とそれに伴う医局制度の崩壊」は、ヒポクラテスの時代からつい最近まで続いてきた「医学の徒弟制度の崩壊」と言い換えることができる。
 『ヒポクラテスの誓い』など聞いたことがない。師はいないし、弟子もいない。自分さえ良ければ良い。尊敬は要らないからお金さえくれればいい。そんな医師達が増えていくのではないかと危惧している。

(翔)

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