上野、六本木の美術館に美術展を見にいくことがあります。混んでいると人の頭の間から絵の断片しか見ることができません。評判になる展覧会には多くの人が訪れます。殺到すると言ってもいいくらいです。隙間を探し背伸びし体をひねってのぞきながら「見たと言えるのか?」と思いますが仕方ありません。
展示室を巡った後、会場出口近くに販売所があります。美術館によっては品ぞろえの良いミュージアムショップが併設されています。ここでは絵葉書とか複製画で全体を眺めることができます。ポスターと記念撮影用のパネル、絵葉書でしか作品の全体を見られないのもどうかと思いますが、断片だけ見て帰るよりは良いです。
ショップでの目当ては展覧会の記念品です。高価な複製画や、絵のモチーフを基にしたアクセサリーやスカーフにはとても心惹かれますが、どんな人が買うのだろうと思いながら眺めるだけ、ジグソーパズルは遊ぶ時間と根気が足りないので諦め、小さな値の張らない物を買うことになります。結果、家の冷蔵庫にはマグネット式のロダンの地獄の門(考える人付き)、佐伯祐三の描くパリの郵便配達夫、フェルメールの真珠の耳飾りの少女がくっつき、私のバッグにはエジプトの猫が数匹ぶら下がっています。小さなバベルの塔の入ったスノードームは大のお気に入りです。
新国立美術館、森美術館は何度か行きました。ショップもとても広く、置いている品は定番の絵葉書もありますが買える美術品と呼べそうな品もあります。ヒエロニムス・ボス作中モチーフの手作り革細工は今でも思い出す程の不気味さと可愛らしさでした。
この文を書きながらもしやと思い検索してみると、オンラインミュージアムショップを何店か発見、アーティゾン美術館ショップに、透明な樹脂部分に絵のモチーフを使った歯ブラシを見付けました。安価で美しく、つい注文しました。衝動買いできるのもミュージアムショップの魅力です。