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令和7年(2025年)2月5日(水) / 南から北から / 日医ニュース

コロナ禍のせいで歌手になった話

 歌手としてお金を稼ぐようになる日が来ようとは、まさかである。
 コロナ禍でなければやらなかったであろう、とあるカラオケアプリをダウンロードしたのが、約2年半前。最初はカラオケとして歌うためだけに使っていた。しばらくして、歌って録音したものを「投稿」するようになった。機能があれば試したくなる。投稿した僕の歌を聴いてくれる人が少しずつ増えていった。
 更にしばらくすると、そのカラオケアプリに「ライブ配信機能」が加わった。文明の進歩とはすごいもので、スマートフォン1台あれば、大げさに言えば世界中の人々に向かってライブ配信できる時代が到来したのである。そのカラオケアプリの会社と「ライバー契約」なるものを結び、恐る恐るライブ配信をするようになった。
 ライブの中身は歌とトークだが、今の「推し文化」を反映してか、少しずつ固定客も付くようになり、今ではほぼ毎日のように夜はライブ配信をしている。"私を待ってる~人がいる~"という百恵ちゃんの歌よろしく全国津々浦々、僕のライブ配信を待っている人が、何十人かではあるが存在しているのである。何てこった。
 しかも、ライブは投げ銭形式であり、わずかではあるが今や収入を得ている。別にお金もうけのためにやっているのではないし、時給に換算すれば数百円という微々たるものだが、それにしてもである。一応、わずかとはいえ、歌手としてお金を稼いでいるわけだ。これまた、何てこった、である。
 そんなわけで、カラオケアプリをダウンロードしなければ、もっとさかのぼるならば、コロナ禍にならなければ、まず出会わなかったであろう老若男女とスマートフォン越しに日々交流している。良い面・悪い面、いろいろと副産物もあるし、詳しく書くと長くなるので書かないけれど、絶えずトラブルも発生する。時間も労力も要する。しょぼいとはいえ「二刀流」はシンプルに疲れもする。しかし、それを上回る楽しさと充実感があるのも事実である。だからこそ続けている。
 今や副業と化した歌手活動を、ファン(2023年9月12日現在、フォロワー数3348人)の方々と共に日々楽しんでいる今日この頃である。人生は何が待っているか分からない。良いこと悪いこと含め、何てこったいの連続である。でも、だからこそ面白い。
 蛇足ながら誤解なきように慌てて一言付け加えるが、本業である医者の仕事も全力で日夜尽力しております。

北海道 北海道医報 第1263号より

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