閉じる

令和7年(2025年)4月20日(日) / 日医ニュース / 解説コーナー

特別インタビュー 大阪ヘルスケアパビリオン館長に聞く~パビリオンの魅力と今後の展望について~

西澤館長西澤館長

西澤館長西澤館長

 黒瀬常任理事は3月16日、加納大阪府医師会長らと共に万博会場内に設けられた「大阪ヘルスケアパビリオン」を視察。西澤良記館長からパビリオンの魅力や今後の展望などについて話を伺った。

250420e2.jpg

Q「大阪ヘルスケアパビリオン」が掲げるテーマと、来場者に伝えたいメッセージについて教えて下さい。

A.このパビリオンでは出展のメインテーマに「REBORN」を掲げていますが、その中には「『人』は生まれ変われる」「新たな一歩を踏み出す」という二つのメッセージが込められています。
 パビリオンの展示や体験を通じて、全ての方に自分らしい生き方を改めて見つめ直して頂ければと思いますし、そうすることで新たな一歩を踏み出すといった行動変容へとつなげることができればと思っています。

Qパビリオン内での展示で、注目すべき技術や実験的な取り組みがあれば教えて下さい。

A.全てがそれぞれにわくわくできるものばかりですので難しいですが、例えばヘルスケアで言いますと、大阪府並びに大阪市が主催・展示している「パーソナルフードスタンド」があります。
 こちらは、「リボーン体験ルート」で得られた個々人のヘルスケア情報を基に、AIが各人に合わせた必要な栄養素や食材、レシピを提案してくれるものです。
 また、目の健康状態をセルフチェックして疾病の早期発見につなげる他、視力の回復につながるトレーニング及びケアを提案してくれる展示や、腸内細菌について学習してその重要性を認識するとともに、腸内環境の改善につなげるといった展示もあります。
 これらは、各人が能動的に健康状態の改善と維持に努められることを重視したものであり、それらの技術・取り組みにより、特に予防医療を促進し、国民の健康を維持・増進することで、活力ある社会の構築を目指していきたいと考えています。
 その他、大阪・関西万博において再生医療のポテンシャルを世界に発信したいということで、iPS細胞にフォーカスした展示もあります。iPS細胞から作成した「心筋シート」につきましては、万博アンバサダーも務めておられる山中伸弥京都大学iPS細胞研究所名誉所長・教授の協力の下、常時展示する予定となっていますので、ぜひ、見学にいらして頂きたいと思います。

Q来場者に特に体験してもらいたいものは何ですか?

A.やはり、一番は「リボーン体験ルート」になります。
 こちらは、パビリオンにおいて特に力を入れているプログラムであり、事前に登録した体験者の情報を基に25年後の自分のアバターを作成できるものです。
 20、30代の方にとってはもちろん、50代以上の方にとっても、25年先の自分を見ることができるということで、意識変革のきっかけにもなると思いますし、未来への希望につながるものであると考えています。

Q最後に、万博終了後に今回のパビリオンでの技術や取り組みをどのように活用・発展させるおつもりなのか、お考えがありましたらお聞かせ下さい。

A.「リボーン体験ルート」により、来館者の健康データが集まることが見込まれますので、体験者の同意の下にそのデータを大学や研究機関、協賛企業で共有することで、新しい研究やサービスの開発に資することができればと考えています。
 また、「リボーン体験」により、健康意識が高まった来館者の健康増進活動を支援するため、会期中にパビリオンで提供する「日常的に容易に健康情報を把握でき、パーソナライズされたヘルスケアサービスを受けられる」といった、体験の仕組みそのものを継承する事業を実施したいと考え、現在、事業者選定を行っているところです。

西澤良記大阪ヘルスケアパビリオン館長/公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオン副代表理事
 1945年生まれ、1970年大阪市立大学医学部卒、1975年大阪市立大学大学院医学研究科修了。その後、2010年に同大学理事長学長に就任。大阪・万博関係では2023年から副代表理事、2025年から館長も務めている。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる