都道府県医師会だより
医学生に白衣を贈呈する田名沖縄県医会長(左から2人目)
医学生に白衣を贈呈する田名沖縄県医会長(左から2人目)
沖縄県医師会では、令和6年度より琉球大学医学部医学科4年生を対象に、臨床実習(クリニカル・クラークシップ)の開始に合わせて白衣を贈呈しています。医師会が主体となって医学生へ白衣を贈る取り組みは全国的にも珍しいと聞いております。
しかし、私たちが届けたいのは白衣そのものではありません。この一着には、「あなたは地域医療を担う大切な仲間です」「私たちは医師となる皆さんを地域全体で支えます」というメッセージが込められています。
沖縄県医師会では以前から、「医師会は医師になってから入会する組織ではなく、医師を志した時から寄り添う存在でありたい」との思いで、医学生や研修医への支援に力を入れてきました。
琉球大学医学部4年生を対象とした「医師会の社会における役割」の講義を平成24年度から10年以上継続し、昨年度からは5年生を対象に沖縄の医療課題や県医師会の取り組みについて学ぶ講義も始めました。女性医師部会による男女共同参画とキャリア形成をテーマとした講義も10年を超えて実施しています。さらに、研修医歓迎レセプションや県医学会への医学生参加支援など、学生時代から研修医の時期まで切れ目なく支える取り組みを続けています。
こうした取り組みの延長線上に、「医師としての第一歩を応援したい」との思いから生まれたのが白衣贈呈事業です。当時、琉球大学では白衣授与式は実施されておらず、本会理事の提案をきっかけに、県医師会から白衣を寄贈し、大学と連携して贈呈式を開催することとなりました。
白衣は医師の象徴であると同時に、患者さんとの信頼関係を築く第一歩でもあります。贈呈式では、知識や技術だけでなく、患者さんに寄り添う心、誠実さ、思いやりを持った医師へ成長してほしいという願いを伝えています。
令和7年11月の2回目の贈呈式では116名に白衣を贈呈しました。大学からは、県医師会からの白衣贈呈は珍しく、地域から期待されているという自覚につながるとの言葉を頂きました。学生からも「医療現場へ踏み出す象徴として身が引き締まる」「研修医になってからも大切に着続けたい一着」との声が寄せられました。
私自身も学生へ、育児との両立に悩み医師を辞めようと思った時、先輩から「多くの患者さんが、その身体をもってあなたを育ててくださったことを忘れてはいけない」と教えられた経験を話しました。
また、女性医師部会や勤務医部会を紹介し、働き方やキャリアに悩んだ時、医師会には相談できる仲間がいることも伝えました。
白衣贈呈は、医師会と医学生が直接顔を合わせ、思いを伝える貴重な機会となっています。学生時代から顔の見える関係を築くことが、地域医療や医師会を身近に感じてもらうきっかけになることを期待しています。
沖縄県医師会は、これからも琉球大学と手を携え、「沖縄で学び、沖縄で育ち、沖縄の医療を支える医師」を地域全体で育てていきたいと考えています。沖縄には、人と人とがつながり、互いに助け合い、支え合う「ゆいまーる」の文化があります。この精神のように、学生、大学、医師会、地域が互いに支え合いながら未来の医師を育む。そのような文化が全国へ広がることを願っています。



