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第1153号(平成21年9月20日) |
9月2日
勤務医の健康と支援のあり方を調査 病院・医師に7カ条を提案
今村聡常任理事は,勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会(委員長:保坂隆東海大学医学部教授)が「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」(本誌第一一四一号参照)の結果を取りまとめたことを公表し,その概要を説明した.
本調査は,現在の勤務医のストレス状況や健康状態を把握するため,勤務医の健康に関する状況について調査することと,勤務医が求めている改善に関する項目を明らかにすることを目的として行われた.今回,日医に所属する勤務医一万人を対象に調査票を送付し,三千八百七十九人から有効回答を得た.
調査結果の要旨は,以下のとおり.
▼二人に一人が,休日が月に四日以下であった.月に八日以上の休みが取れていたのは,男性で一八%,女性で三二%であった.
▼病床数が増えるにつれ,平均睡眠時間が減る傾向があり,休日も少ない傾向があった.
▼二人に一人は半年以内に一回以上患者からの不当なクレームの経験があった.
▼二人に一人は自身の体調不良を他人に相談しないと答えた.
▼六%が一週間に数回以上,死や自殺について考えていた.
▼九%の回答者がメンタルヘルス面でのサポートが必要と考えられた.
▼医療機関における勤務医の健康支援のために必要と思われる改善策については,「医師が必要な休日(少なくとも週一日)と年次有給休暇が取れるようにする」(八九・一%),「医師が必要な休憩時間・仮眠時間を取れる体制を整える」(八七・四%),「医療事故に関する訴えがあった際には必ず組織的に対応し,関係者が参加して医師個人の責任に固執しない再発防止策を進める」(八九・一%),の改善策に多くの勤務医が「必要だと強く思う・必要だと思う」と回答した.
また,同常任理事は,今回の調査結果を踏まえて,病院に向けて提案する「勤務医の健康を守る病院7カ条」,医師に向けて提案する「医師が元気に働くための7カ条」を定めてリーフレットを作成したことを説明.「一般的に見れば当然のことかも知れないが,その当然なことがなかなか実施出来ない環境にある.医師個人だけではなく,病院全体として対応し,医師を孤立させない環境づくりが必要」と述べた.本リーフレットは,多くの目に触れるよう,医師会,病院団体,学会等を通じて配布する予定.
(調査結果や,7カ条の詳細については,日本医師会ホームページ「定例記者会見」(H.21.9.2)掲載の資料を参照)
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