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平成29年(2017年)8月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

緊急会見 新たな専門医の仕組みへの国の関与はあくまで謙抑的であるべき

 横倉義武会長は8月3日、松原謙二副会長と共に都内で緊急記者会見を行い、前日2日に塩崎恭久前厚生労働大臣が公表した新たな専門医の仕組みに関する厚労大臣談話に対する日医の考えを説明した。

 2日に公表された厚労大臣談話は、塩崎前厚労大臣と吉村博邦日本専門医機構理事長との面談の際に提示されたもので、「新たな仕組みにおいては、地域医療への悪影響が生じるのではないかなどの懸念を完全に払拭するには至っていない」とし、「日本専門医機構及び各学会に更なる協力を求める」旨が明記されていた。
 会見で横倉会長は、昨年7月に新たな体制で再スタートを切った日本専門医機構について、「新たな仕組みの開始の延期を決定し、その後も医師の偏在助長を回避すべく、11月に日医が提出した七つの要望項目を新整備指針に盛り込むなど、真摯(しんし)に対応している」との認識を示すとともに、各領域学会に関しても、「新たな仕組みの柱でもある専門医の質の向上に努めるとともに、偏在助長の回避、医師のキャリア・パスへの配慮など、懸命な努力を重ねている」とした。
 今回の大臣談話については、「日医も地域医療提供体制の確保は最重要課題と位置づけており、今回の談話において、医療法に規定する国の責務として、厚労省が地域医療への配慮を求めること自体は理解する」とする一方、「新たな専門医の仕組みは、法的な強制力を持つものではなく、医師の自律的な取り組みを学問的に評価するものであり、新整備指針の基本理念にあるように、プロフェッショナル・オートノミーに基づき運用されるべきものである」と強調。「国の関与については、あくまで謙抑的であることが望ましく、日本専門医機構が自らガバナンスを強化しつつ、両者の協力・連携の下、関係者の意見を調整しながら、専門医養成の仕組みが適切かつ円滑に運用されていくことが最も重要である」との考えを示した。
 その上で横倉会長は、「若い医師達が、新たな専門医の仕組みの先行きに不安を抱えている中、日本専門医機構においては、その不安を払拭するためにも、平成30年度の新たな仕組みの運用開始を見据え、着実に準備を進めることが必要である」とするとともに、「日医としても、今後とも日本専門医機構を支援し、わが国における専門医養成が医師の資質向上に寄与し、地域医療に十分に配慮した仕組みとなるよう積極的に協力していく」と述べた。
 また、質疑応答の中で、新たな専門医の仕組みの開始時期について問われた横倉会長は、「当初は本年4月から開始される予定であったが、専門医になりたいと考えていた若い医師達には1年待ってもらうことになった。それを更に遅らせるということになれば、彼らのキャリアに対する影響があまりにも大きくなり過ぎる」と指摘。「現状では、まず新たな仕組みを開始し、問題があればその都度速やかに解決していく方法が良いのではないか」との考えを示した。
 なお、日本専門医機構は、4日に開催した理事会において、来年4月より新たな専門医の仕組みを開始することを決定した。

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