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平成30年(2018年)7月5日(木) / 日医ニュース

地域住民の健康課題に対応するため都道府県版日本健康会議の設置を

地域住民の健康課題に対応するため都道府県版日本健康会議の設置を

地域住民の健康課題に対応するため都道府県版日本健康会議の設置を

 都道府県医師会予防・健康づくり(公衆衛生)担当理事連絡協議会が6月15日、日医会館小講堂で開催された。
 担当の羽鳥裕常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした横倉義武会長は今回の連絡協議会について、「地域住民の健康課題にきめ細かく対応するためには、各地域においても日本健康会議のような体制を構築してもらい、地域の実情に応じた予防・健康づくりを推進していく必要があると考え、その契機としてもらうために開催した」とその趣旨を説明。参加者に対して、「予防・健康づくりの推進や健康会議の設置等について、ぜひ、各地域で検討して欲しい」と呼び掛けた。
 報告では、角田徹公衆衛生委員会委員長(東京都医師会副会長)が、横倉会長からの諮問「健康寿命延伸のための予防・健康づくりのあり方」について、同委員会で約1年半にわたって議論し、取りまとめた答申の概要を説明。その中では、健康な状態の定義や、健康寿命の新たな算定方法などを提案しているとした(詳細は別記事参照)
 渡辺俊介日本健康会議事務局長は、同会議設立の経緯等を説明した上で、同会議が策定した「健康なまち・職場づくり宣言2020」について、「医療費が一律に抑制されることを避け、無駄なものを排除する一方、必要な医療費を確保するために策定したものである」と強調。都道府県版日本健康会議に関しては、「『経済財政運営と改革の基本方針2018』でも触れられており、今年度は5~6カ所で開催したいと考えている。ぜひ協力をお願いしたい」と述べた。
 更に、保険者協議会への都道府県医師会の積極的な参加を要請。「医師会が中心となって、『糖尿病の重症化予防』『特定健診の受診率向上』『良質な後発医薬品の普及・促進』に取り組んで欲しい」とした。

3県医から地域における活動事例を報告

 地域における活動事例の報告では、まず、佐藤和宏宮城県医師会副会長が、①産官学が一体となって健康づくりを推進していくため、平成28年2月に「スマートみやぎ健民会議」を設立した②重点的に取り組むテーマとして、「1日15分(1500歩)歩くこと」を掲げている―ことなどを紹介。「この取り組みが一過性のものとならないよう、効果的な取り組みの実現を目指して、県医師会としても専門的な立場からサポートしていきたい」とした。
 篠原彰静岡県医師会長は、静岡県民全てが健康で活躍することを目指して、「特定健診データの見える化」や「しずおか"まるごと"健康経営プロジェクト」を開始したことを報告。今後に関しては、「全国で初めて開催した都道府県版日本健康会議の成功を踏まえ、県の行政が設立を目指している『静岡健康会議(仮称)』にも積極的に関わり、先進的な予防・健康づくりに取り組んでいきたい」と述べた。
 石黒成人高知県医師会常任理事は、県民の健康増進に向け、官民協働で推進している、楽しみながら健康的な生活を習慣化できる「高知家健康パスポート事業」や未治療ハイリスク者や治療中断者への受診勧奨を全県的に進めていることなどを説明。県民が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けていくためにも、県医師会として、引き続き全面的に協力していく意向を示した。
 その後の総合討論では、「予防・健康づくりの成功のためには、医師の積極的な関与が不可欠」「生活習慣病対策は今後の認知症予防にもつながるという意識をもって、取り組むことが重要」「小さい時からの健康教育が大事になる」といった意見が出された。
 その他、渡辺事務局長は、「国民が求めている、どういった食べ物が健康に良いのかといった情報もエビデンスを集め、今後は提供していきたい」との考えを明示。公衆衛生委員会の委員でもある長谷川敏彦未来医療研究機構代表理事は、同委員会の答申で示した健康の定義等の活用を求めるとともに、「健康寿命を延伸していくためには、高齢者自身や家族、そしてさまざまな専門家が協力して、高齢者の『食べる』『動く』『交わる』という健康インフラの機能不全を予防・改善していくことが大事になる」と述べた。
 最後に今村聡副会長が、「予防・健康づくりは全ての関係者が同じ方向を向いて取り組んでいくことが必要になる。まずは地域の現状の見える化を行い、関係者が参加し、各地域で必要な取り組みができるよう、都道府県版日本健康会議の設置を検討して欲しい」と総括し、協議会は終了となった。

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