百日咳菌の感染力は非常に強く、咳による飛沫等で周囲に感染します。菌に感染すると、7〜10日の潜伏期を経て、咳やくしゃみ、鼻水といったかぜ症状が出始めます。かぜ症状が1〜2週間程度続くと、しだいに咳の回数や激しさが増してきます。発熱は、ほとんどないか微熱程度です。
咳が出ないときは無症状ですが、何らかの刺激で咳が出始めると、コンコンコンコンと長く咳が続き、息を吸い込む際に「ヒューヒュー」という笛を吹いたような音が聞かれます。これが典型的な症状です。咳の発作は夜に出やすく、嘔吐をともなうこともあります。この時期には上まぶたが腫れ、いわゆる百日咳様顔貌を呈します。なお、乳児期早期では、特徴的な咳が出ずに無呼吸状態から呼吸停止にいたることもあります。
激しい咳の発作が出る期間は2〜4週間で、それを過ぎるとしだいに少なくなって快方に向かいます。完全に回復するまでは、初期のかぜ症状が出てから2〜3ヶ月もかかります。「百日咳」という名前は、咳が出る期間がそのくらい長いことに由来します。
なお、成人が発症しても乳幼児に比べると症状が軽い場合が多いですが、症状は軽くても菌は咳とともに排出されているため、ワクチン接種を受けていない乳児等へ感染させるおそれがあるので注意が必要です。