健康交差点No.3 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
魂と健康
立松和平(作家)

イラスト ストレスを持たないことが、おそらく一番の健康法なのであるが、現代の社会ではもちろんそれは困難なことである。しかし、こうすれば確実にストレスはなくなるということをするのが、とりあえず私たちのできる健康法なのではないだろうか。

 やや贅沢なのかも知れないのであるが、私が最も喜びとするのは、知床の山小屋に行くことである。そこは人里離れた山中であり、季節の変化は色濃くあるものの、そのほかにはまったく変わらない自然への信頼がある。山の澄んだ空気を胸深く吸えば、自分がこの世に生きて在るという喜びに満たされる。生きていくうえでの、これほどの良薬はないのである。

 そこには心おきなく語り合える友がいる。激しい競争社会にあって、競争をしなくてよい、私には魂の休み場所なのである。魂が元気なれば、身体も元気になると思いたい。

診察室から 日本の医療費は本当に高いの?
 日本の1年間の医療費は、約30兆円といわれていますが、皆さんは高いと思われますか。

 世界の先進国のなかでは、1位アメリカ、2位ドイツ、3位スイスで、日本ははるか下の19位にすぎません。しかも、国民1人当たりの医療費は年額28万円で、これも世界7位に当たります。

 こんななかで、日本は高い医療水準を維持し、世界一の長寿国となりました。

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