自分を曲げるのが嫌いな子どもだった。みんなと同じに振る舞うのが苦手で、大人の価値観を無理に押し付けられるのが嫌だった。それは今の僕にもつながっているのかも知れない。小学校のころは、厳しい先生の影響もあり、音楽は大の苦手だったが、料理は最初から好きで得意だった。
そんな僕が歌を始めたのは中学3年の時だ。才能に溢れた親友に誘われて、エレキバンドに加入したが、音楽の基本を彼が僕に注入してくれた。そのおかげで高校を卒業し、すぐにプロの歌手になることができた。若くして亡くなったが、彼は天才だったと今でも思う。
コンサートでお客さんに歌を楽しんでもらうのと、料理を食べた人においしいと喜んでもらうのは、まったく僕のなかでは一緒のことだ。料理も歌も同じエンターテインメントで、僕はそれを伝える伝道師だ。最近はそういう役目に生まれてきたんじゃないかと本気で思っている。
|