昨年の秋、フィンランドに行って、現地のオーケストラとレコーディングをしてきた。それまでの準備や、不安とか緊張で疲れていたのだが、そんなストレスがいつの間にか浄化されたような、心身ともに有意義な旅だった。
毎日、どこまでも神秘的で美しい景色やシンと澄み切った空気に包まれて、清々しい気持ちで録音ホールに入る。そこで迎えてくれるのは、オーケストラの団員の静かでとても温かい笑顔だ。音で描きたい「オーロラ」への想いを、遠慮やためらいなく彼らに伝え続けられたのは、彼らが柔軟に熱心に受け止めてくれたお陰だ。言語は違っても、音楽を通じてのコミュニケーションの方がむしろ迷いなく、純粋にストレートに想いを伝えられた気がする。北欧の自然のままの美しい自然と、それに育まれた優しい笑顔のなかで、いつの間にか、普段よりもずっとリラックスしてエネルギッシュな自分がいるのに気づいた。
自然と一体となった時に満ちるエネルギーや、言葉も遥かに超える笑顔の力も、大事な健康法の一つなのだと実感したのだった。
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