私はあきれるほど健康だと思う。「どうして、そんなに元気なの?」ときかれると、「親が心をこめてしっかりした体に製作してくれたお陰です」としか答えようがない。
しかし、日本中が貧しくてロクな食べ物もなかった戦後の育ちである。しかも、父を早くに亡くした母子家庭。ところが、2人だけの小さな食卓が、それはそれは豊かさに満ちていたのだ。季節のもの、旬のもの、珍しいもの、とにかくおいしいものが卓袱台狭しと並んでいた。未亡人という響きとは正反対のたくましい母はいい切る。「私は生きるために食べるんじゃない。食べるために生きるの」。そして、私には、「食欲は知識欲に通じる」と教え込んだ。
現在7つの色(白・赤・緑・黄・茶・紫・黒)の食べ物をバランスよく食べろという風潮。わが家では50年も前から、そのように食べていた。さらに、好きなことを仕事にしているのだから、毎日、「おもしろい、楽しい」といって暮らせている。生涯現役の女優でいるためには健康あってこそだ。
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