健康交差点No.43 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
自分の生き方にこだわること
有森裕子(マラソンランナー)

 活発だったが、どこか自分に自信がない少女時代だった。中学の時に体育祭の800メートル競走で1位になり、それで自信が持てて、陸上を頑張るようになった。高校・大学時代は怪我が多く、大した記録が残せなかったが、結果の良し悪しは別にして、とにかく頑張ることが好きだった。大学四年の時、もう一度走りたいとの思いで、教員志望を変更して、会社に入社した。オリンピックに初出場できたのはその4年後だった。

 オリンピックに二度出場した後、ボランティア活動に飛び込んだが、悲惨な状況のなかでも笑顔や生き生きとした姿を見せるカンボジアの子どもたちの「生きる力」に心を打たれた。若い世代の人々には、自分の生き方に徹底的にこだわって、自分の可能性を最大限に伸ばしてほしいと思う。ボランティアもそうだが、自分の生き方から目を逸らして、他人の生き方に思いを入れることはできないからだ。まず挑戦することが大切だと思う。

診察室から 世界に誇る日本の皆保険制度(2)

 国民皆保険制度が始まってから、日本人の健康指標は大きく改善しました。2000年にWHO(世界保健機構)が発表した世界の健康達成度報告においては、健康寿命では米国の24位を大きく離して世界1位、医療を受ける時の平等性では米国の32位に対して3位、健康達成度総合評価は世界1位となっています。

 しかも、国内総生産(GDP)比の医療費は米国が世界一高いのに対し、日本は18位と、ずっと低い医療費でこれらの優れた成果を達成していることが分かります。日本の皆保険制度は、世界の医療制度のなかの金メダルです。

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