健康交差点No.52 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
息子からもらった健康法
イルカ(シンガーソングライター・国際自然保護連合(IUCN)親善大使)

 大人しくて泣き虫、一人遊びが苦にならない動物好きの小学生だった私は、中学生になって、別人のように活発になった。中1の時にビートルズに出会い、彼らのレコードを昼休みに放送室で流したり、学園祭やキャンプファイヤーで歌ったりしていたが、白い目で見る先生が一人もいなかったのは本当に幸せだった。

 歌手としてデビューし、息子が生まれ、幼稚園に行ったとき、夏休み、冬休み、春休みとして、年に5カ月休むことを始めた。今でも、休んでいるときは時計を持たずにアジアに滞在し、自然のサイクルに身を委ねたり、家庭人として、料理や掃除をするほか、犬や孫と遊んだり、両親との語らいに没頭している。そうするうちに無性に歌いたくなり、やりたいことがどんどん出てきて、今度は仕事に集中できてバランスが良い。

 これは母親になって、息子からもらった自分の健康法だと思う。

診察室から 日本の医療制度について(3)

 日本の国民医療費の財源は、税金(国と地方)と保険料と患者さんの負担の3つの部分から成り立っています。

 国の財政難を理由に、政府は医療費のなかの税金分を減らして、患者さんの負担分を増やそうと目論んでいます。

 さらに、公的医療保険のカバーする範囲を縮小して、健康保険のきかない自費診療を増やそうとしています。昨年問題になった混合診療の導入案や、医療への株式会社参入などの考え方が、その代表的なものです。

 そのモデルとなっているアメリカの医療費は日本の2倍以上で、保険に加入できない人が4千万人もいるのです。経済優先の論理が社会保障の崩壊を招くのは、火を見るより明らかなのです。

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