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平成27年(2015年)11月5日(木) / 日医ニュース

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

「国民医療を守るための国民運動」の展開を全会一致で了承

 第12回国民医療推進協議会(会長:横倉義武日医会長)総会が10月7日、日医会館小講堂で開催された。
 当日は日医から、国民に必要かつ十分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保と医療等に関する消費税問題の抜本的な解決を求めるため、「国民医療を守るための国民運動」を展開していくことを提案し、全会一致で了承された。

 今村定臣常任理事の司会で開会。会議の冒頭、あいさつした横倉会長は、「厳しい財政状況や人口が減少していく中で国民皆保険を堅持していくためには、医療側も自主的な取り組みを進めていくことが必要」とした上で、「国民に、必要かつ十分な医療・介護の提供ができるよう、医療機関等の経営が安定して成り立つための適切な財源の確保と、控除対象外消費税問題の抜本的解決を、国民と共に政府に求めることが極めて重要である」と述べ、これらを目的とした国民運動の展開に、理解と協力を求めた。

議 事

 引き続き、議事「国民運動展開の件」に入り、(1)医療・介護の適切な財源確保に向けて、(2)医療等に関する消費税問題─についての説明が行われた。

 (1)では、中川俊男副会長が、直近の過去5回の診療報酬改定について触れ、「消費税対応分を除くと、5回のうち3回はマイナス改定であり、しかも薬価改定財源は国庫に返納されるという流れがつくられ、恒常化されようとしている」として警戒感を示すとともに、最近の調剤医療費の伸びが非常に大きいことの問題点を指摘した。その上で、「健康保険法等に照らしても、薬価のマイナス財源は診療報酬改定財源に充当すべき」と主張するとともに、「薬価の毎年改定に反対」との考えを明確に示した。

 更に、地域医療構想と診療報酬との関係についても言及。「診療報酬は全国一律であるが、どの病床機能を選択しても、経営上の負担にならない診療報酬が必要である。一方、地域の実情には地域医療介護総合確保基金できめ細かく対応すべき」と述べた。

 また、地域包括ケアシステムの構築に向けては、「『かかりつけ医』を中心とする多職種連携が重要」だとして、「『モノ』ではなく『ヒト』に重点的な評価を、すなわち財源の手当を強く求めていきたい」とした。

 (2)については、今村聡副会長が、まず、主な課題として、(1)既存のマクロ的な補てん不足(2)設備投資等(医療機関による仕入れ構成の違い)への対応─があると指摘。(1)については、医療機関の負担額合計は、日医の推計で、年間約2560億円にも達すると説明。(2)については、中医協各委員においても、診療報酬での対応は困難との考えが、共有されているとした。

 その上で、そうした課題の解決に向け、現在、会内に設置した「医療機関等の消費税問題に関する検討会」で、財務省や厚生労働省からも委員として参加してもらい、検討を進めていることや、消費税対策に関する日医の「平成28年度税制改正要望」の内容を説明。「本協議会で決議をし、国に対して強く要望することにより、税制改正大綱に、より具体的な記載がされることになる」と述べ、協力を求めた。

 続いて、今村常任理事が、今回の国民運動の活動概要と決議案の内容を説明。具体的には、(1)国民集会「国民医療を守るための総決起大会」を12月9日に日比谷公会堂で開催し、決議を採択、(2)都道府県医療推進協議会に対し、(1)都道府県医療推進協議会主催の地域集会の開催・決議採択(2)地方議会会期中の都道府県においては、地方議員・議会に対し、地方自治法第99条に則った意見書を国会等に提出するよう要望(3)国民集会への参加協力依頼、(3)全国各地からの決議文並びに国民集会の決議文をもって、政府関係各方面へ上申─するとした。

 協議では、国民運動の展開並びに決議が、全会一致で了承された。

 なお、当日は、国民医療推進協議会の40構成団体のうち、33団体より67名が出席した。

決 議
 国民の健康への願いは「国民皆保険」を実現させ、我が国は世界最高の健康水準を達成した。
 今後さらなる超高齢社会を迎えるなかで、我が国が自信を取り戻し、発展をし続けていくためには、社会保障を充実させ、国民に将来の安心を約束していくことが重要である。
 よって、本協議会の総意として、次のとおり要望する。

一、国民に必要かつ充分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保
一、国民と医療機関等に不合理な負担を生じさせている医療等に係る消費税問題の抜本的な解決
以上、決議する。
平成27年10月7日
国民医療推進協議会

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