日医定例記者会見 平成27年12月24日・平成28年1月6日
小森貴常任理事は、新しい専門医の仕組みにおいて病院群がその作成に取り組む専門研修プログラムについて、内科以外の診療領域で指導医数、症例数の少ない医療機関における研修を軽視する傾向が見られることから、専門研修プログラムの作成に関する「新しい専門医の仕組み─地域医療を守るための提言─」を取りまとめたことを報告した。
同常任理事は、新たな専門医の仕組みの構築に当たっては、「少なくとも、現在以上に医師が偏在することのないよう、地域医療に十分配慮すべきである」(専門医の在り方に関する検討会報告書)とされ、内科領域の専門研修プログラムの整備基準においては、(1)3年間の専攻期間のうち、一定期間を地域に根ざす第一線の病院で研修することも必須である(2)指導医が在籍していない診療所や過疎地の病院等を特別連携施設と定義して、プログラム統括責任者と指導医による管理の下で1年以内の研修を認め、地域医療やへき地医療の経験を積極的に評価する─ことがその理念として、明記されていることを紹介。
一方で、内科以外の領域では、このような配慮がなされていないことから、指導医のいない診療所や過疎地の病院等では研修が認められていない状況にあることを問題視。例えば、指導医が一人だけ配置されているような施設において専攻医が研修しようとする場合、指導医が、妊娠、出産、育児、介護、研究等で、当該研修施設を休職せざるを得ず、その代わりの指導医を配置できなかった際には、専攻医の当該施設での研修期間は認められないことになり、当該指導医はこれらの正当な理由で休職することが困難になることが予測されることから、現在の地域医療の機能は大きく損なわれてしまうとの危惧を示した。
その上で、同常任理事は、本提言について、「地域の医療が崩壊しないよう、内科以外の領域においても、これから専門研修プログラムを作成する担当者に対して、本専門研修の理念を十分に確認し、指導医が在籍していない診療所や過疎地の病院等における研修を一定の要件の下で認めることを明確にしてプログラムの作成に当たって欲しいとの思いから取りまとめたものである」と説明。
また、本プログラム作成や地域医療に配慮した病院群の設定、キャリア形成支援等を行うに当たっては、それぞれの地域において都道府県、大学、医師会等の関係者が協議・連携するための場を設置することが不可欠だとして、今後、厚生労働省に対して、各都道府県における協議の場の設置に関する通知・指導を行うよう要望する考えを示した。
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