勤務医のページ
平成29年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が5月10日、日医会館小講堂で開催された。
勤務医担当の市川朝洋常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、日医会長に就任以来取り組んできた、医師会の組織強化について、「臨床研修医の会費無料化等を始めとするさまざまな取り組みが全国の医師会で共有されつつあり、昨年度は前年比で約1500人会員が増加するなど、徐々に成果が表れてきた」と述べるとともに、今期の勤務医委員会では、諮問「勤務医の参画を促すための地域医師会活動」について、より多くの勤務医が地域医師会活動に積極的に参加し、活躍できるような環境整備について、入会促進も含めて議論を依頼していることにも触れ、勤務医の先生方の医師会活動への参画についても、より一層の協力を求めた。
更に、「勤務医同士であっても、その立場はさまざまであり、一括りに論じることはできないが、さまざまな立場の違いを超えて、『日本医師会綱領』の理念の下に大同団結する中で、多様な声を踏まえた活動を推進できることが医師会の大きな存在意義の一つであり、強みである」と改めて強調。「その強みを一層生かしていくためにも、一人でも多くの勤務医の先生方に医師会活動に参画頂き、共に歩みを進めていきたい」と述べた。
また、「医師の働き方」については、「過重労働が問題となる勤務医の健康を守ることはもとより、地域医療提供体制への影響や、医療の質の向上・確保という観点からも、非常に重要な問題である」として、会内に「医師の働き方検討委員会(プロジェクト)」を設置し、検討を進めていくことになったことを報告した。
議事に移り、福田寛二大阪府医師会理事が、平成28年11月に大阪市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告(別記事参照)。
続いて、本年度の担当医師会である北海道医師会の藤井美穂常任理事が、次回の連絡協議会は「地域社会をつなぐ明日の医療を考えるとき―次世代を担う勤務医の未来創成のために―」をメインテーマとし、10月21日(土)に札幌市内で開催予定であると説明した。
協議1 「新たな専門医の仕組み」について
引き続き、望月泉日医勤務医委員会副委員長/岩手県医師会常任理事の司会の下「新たな専門医の仕組み」について協議に入り、羽鳥裕常任理事が、「専門医のしくみの現状と課題」と題して、新たな専門医の仕組みに係る最近の動向等について説明を行った。
羽鳥常任理事は、専門医について、「各学会が自律的に独自の方針で専門医制度を設けて運用してきたが、認定基準が統一されていないことから、専門医の質の担保に対する懸念があった」と指摘。その上で、「専門医としての能力の捉え方には、医師と国民との間にギャップが存在しており、現在の専門医制度は国民にとって分かりやすい仕組みにはなっていなかった」と、議論が行われるようになった背景を説明した。
また、専門医制度改革の基本理念である、①専門医の質を担保できる②患者に信頼され、受診の良い指針となる③公の資格として国民に広く認知され、評価される④医師が誇りと責任を持ち、患者の視点に立って自律的に運営する⑤医師の偏在を悪化させない―制度となるよう、日本専門医機構でこれまで行ってきたさまざまな議論について、その経過とともに、現在の状況を詳細に解説し、新たな仕組みへの理解を求めた。
事前に寄せられた都道府県医師会からの意見・要望及び日医勤務医委員会からの質問には、松原謙二副会長が、日医の考えを述べるとともに、日本専門医機構での議論について改めて説明。「新たな仕組みは、まだまだ修正していかなければならないところも多いが、平成30年から開始することが決まっている。より良い医療を行うためにも、更に議論を深めていきたい」と述べ、一層の理解と協力を求めた。
協議2 「医療事故調査制度」について
続いて、泉良平日医勤務医委員会委員長/富山県医師会副会長の司会の下、医療事故調査制度について協議が行われた。
今村定臣常任理事は、本年3月から4月にかけて日医が都道府県医師会に対して実施した「医療事故調査制度における都道府県医師会の支援団体活動に関する実態調査」について、(1)各医師会「支援団体」の相談受付態勢、(2)院内事故調査に対する支援態勢、(3)支援団体等連絡協議会の活動、(4)医師会の支援団体活動における課題、問題点―の4項目を中心に、集計結果の概要を報告した。
質疑応答では、実態調査で自由記載欄に回答のあった内容を中心に、対応に苦慮している点や政府・日医への改善提案・要望に対して、松原副会長、今村常任理事がそれぞれ回答を行った。
協議終了後、「医師の働き方」に関して、市川常任理事が、質の高い医療提供体制の維持と医師自身の健康確保を両立するような仕組みを検討することを目的として、会内に「医師の働き方検討委員会(プロジェクト)」を設置し、検討を進めていくことになったことを改めて報告した。また、泉日医勤務医委員会委員長より、現況について説明が行われた。
最後に、今村聡副会長が総括し、協議会は閉会となった。