平成27年度大学医学部・医学会女性医師支援担当者連絡会が昨年12月18日、「よりよい男女共同参画を目指して」をテーマに、日本医学会連合との共催により日医会館大講堂で開催された。
同連絡会は、日医女性医師支援センター(以下、支援センター)が一昨年度から事業計画として掲げたもので、日医における女性医師支援・男女共同参画に関する取り組みの周知と各大学医学部及び各医学会(前回より)の取り組みについての情報交換を目的に開催されたものである。
笠井英夫常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長は、支援センター事業の中核である「女性医師バンク」の実績を高く評価するとともに、事業への協力に感謝の意を示した。その上で、安倍内閣が「すべての女性が輝く社会づくり」を推進し、そのための環境整備が急速に進められていることに言及。「医療の望ましい発展のためにも、日医として、その実現に真摯(しんし)に取り組んでいきたい」と述べた。
続いてあいさつした髙久史麿日本医学会・日本医学会連合会長は、現在、第一線で活躍されている女性医師について紹介した上で、「これから日本で、女性医師が活躍する場がもっと増えることが大変重要だと考えている。女性医師の支援に尽力して頂きたい」と語った。
その後、議事に入り、笠井常任理事が、日医の女性医師支援に関する取り組みについて、支援センター事業の今年度事業計画を示しつつ概説し、特に「医学生、研修医等をサポートするための会」については、年々開催回数が増加し、昨年度は延べ70回の開催となったことを報告した。
事例発表
次に、2大学2学会より取り組み事例の発表が行われた。
山本明美旭川医科大学皮膚科学講座教授/同大学二輪草センター長は、医師不足・偏在、少子化対策として女性の活用が不可欠であることから、2007年に復職・子育て・介護支援を目的に開設した「二輪草センター」の取り組みについて紹介。8年間の活動を通して、「全員参加のプロジェクトを実施することにより、皆が当事者意識を持つようになり、組織が変わる」ことが分かったとした。
守屋普久子久留米大学医学部病理学講座助教は、(1)キャリア教育の導入・充実、(2)女性医師の就労支援、(3)勤務医の労働環境の見直し─を"三本の矢"として掲げて活動している「元気プロジェクト委員会」について説明。女性医師が働くことによる診療業務・病院経営への貢献度は計り知れないと語った。
瀧原圭子日本循環器学会男女共同参画委員会委員長(大阪大学総長特命補佐/同大学保健センター長・教授)は、日本循環器学会が2010年に男女共同参画委員会を設立し、各支部においてもセミナー等を開催していることや、2014年には勤務環境改善のための提言を公表したことなどを報告。"辞めない女医"をつくるためには、柔軟な勤務体制等、とにかく続けられる環境整備が重要だとした。
水間正澄日本リハビリテーション医学会理事長(昭和大学医学部リハビリテーション医学講座教授)は、リハビリテーション科女性専門医ネットワークが2009年に専門医会の一組織として発足し、医学生・研修医をサポートするための会等の活動を行っていることを説明した上で、特にこれからのリハビリテーション医学会は、女性医師が支えていく力となる必要があるとの考えを示した。
その後の意見交換では、さまざまな質問や意見、要望等が寄せられ、連絡会は盛会裏に終了した。
当日は、54大学、64学会の関係者の他、45都道府県医師会の担当役職員ら239名が出席した。
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