平成27年度女性医師支援事業連絡協議会が2月26日、日医会館大講堂で開催された。
笠井英夫常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(今村聡女性医師支援センター長代読)は、「日本医師会女性医師バンクは、平成19年1月の開設以来、今年で10年目を迎え、450件を超す就業実績上げている」として、担当コーディネーターの尽力と各医師会の協力に謝意を示すとともに、一層の活性化を目指すと強調。「女性医師の活躍は医療の望ましい発展のために必要不可欠であり、日医としてもその実現のため、真摯に取り組みを進めていく」との考えを示した。
議事では、6ブロック(北海道・東北、関東甲信越・東京、中部、近畿、中国四国、九州)をそれぞれ代表して6県医師会(宮城、栃木、三重、兵庫、岡山、宮崎)から女性医師支援センター事業ブロック別会議の総括や特徴的・先進的な取り組み等が紹介された。
北海道・東北ブロック:髙橋克子宮城県医師会常任理事は、「宮城県女性医師支援センター」について紹介。宮城県、宮城県医師会、東北大学病院、勤務女性医師、宮城県女医会の委員で構成される同センターでは、出産・育児・復職などについて相談を受けている他、さまざまなセミナーや意見交換会等を開催しているとし、今後、郡市医師会にも協力を要請するとした。
関東甲信越・東京ブロック:滝田純子栃木県医師会常任理事は、研修医や医学生、行政関係者も構成員に含めた男女共同参画委員会において研修会や講演会を企画し、特に「医学生、若手医師のキャリアデザインを考える会」の反響が大きかったことを報告。平成27年4月には女性医師部会を設け、県内の女性医師会員288名のうち195名が加入し、メーリングリストで意見交換や情報提供等を行っているとした。
中部ブロック:今野信太郎三重県医師会理事は、平成26年に三重県の委託を受け開設した「三重県医療勤務環境改善支援センター」で「『女性が働きやすい医療機関』認証制度」について協議し、平成27年11月に制度創設に至ったことを紹介。書類審査、現地確認、専門家による審査を経て認証されると、三重県から認証書が交付され、県のホームページに公表される他、認証マークの表示が可能になること、有効期限は認証日から3年後の年度末までであることなど、制度の概略を説明した。
近畿ブロック:宮地千尋兵庫県医師会理事は、滋賀県・奈良県・和歌山県・京都府・大阪府の各医師会の取り組みを報告した上で、兵庫県医師会の取り組みとして神戸大学医学部附属病院の「D&N plus ブラッシュアップセンター」について説明。同院で働く医師・看護師・コメディカル・事務職員を対象に、妊娠期から相談を受け、ワークショップや講演会を開催する他、研修やe-learning事業を通して、職場復帰を支援しているとした。
中国四国ブロック:神﨑寛子岡山県医師会理事は、中国四国ブロックの各県医師会の取り組みを報告した上で、岡山県医師会では、女性医師相談窓口、保育支援、学童保育支援などの事業を行っていることを紹介。また、「岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT」と行った「女性医師の学童保育に対するニーズ調査(速報)」を紹介し、今後の学童保育支援のデザインの検討に生かしていくとした。
九州ブロック:荒木早苗宮崎県医師会常任理事は、今年度から「みやざき子ども文化センター」に委託して開始した「女性医師保育支援サービスモデル事業」について報告。既存のファミリーサポート制度では対応できない、急な残業や出張、子どもの病気時などに保育サポーターが一時的な預かりを行うもので、「女性医師が安心して確実に利用できる医師会版のシステムを構築した」とし、利用の流れやサポート会員の養成方法等について説明した。
その後の質疑応答・総合討論では、女性が働きやすい医療機関の認定制度や、女性医師向けの保育支援サービスモデル事業の運用に関する質疑が多く出された他、長時間労働を美徳とする職場の意識改革の必要性など、活発な意見交換が行われ、協議会は盛会裏に終了となった。
参加者は134名であった。
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