横倉義武会長は6月8日、日医を表敬訪問した全国保健所長会の宇田英典会長らと会談。同会が取りまとめた「平成29年度保健行政の施策及び予算に関する要望書」の実現に向けた協力依頼を受けるとともに、今後もわが国の公衆衛生の維持・向上に向けて、両者が協力していくことを確認した。
同会は、全国にある約480カ所の保健所長による組織であり、保健所の進展と保健所相互の連携を図り、公衆衛生の向上に寄与することを目的に活動している団体である。
当日の会談で、宇田同会長は要望書の内容を説明した上で、全国的に公衆衛生医師が不足していることによって、保健所の集約化が図られようとしている事態を憂慮し、日医にその養成に向けた協力を求めた。これに対して横倉会長は、「公衆衛生活動は国にとっても大変重要なことであり、引き続き、公衆衛生医師の養成に向けて協力していきたい」と応じた。
また、現在その創設・稼働に向けて着々と準備が進められている災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)に関しては、宇田同会長が、「国においても制度的に位置づけられるように、中央防災計画にも明記してもらいたいと考えており、協力をお願いしたい」と要望。中央防災会議の委員でもある横倉会長は一定の理解を示すとともに、「その実現のためにも、ぜひ全国保健所長会に被災者健康支援連絡協議会に参加してもらいたい」と述べた。
その他、会談では4月14日に発生した「平成28年熊本地震」に対する支援についても意見交換が行われた。
横倉会長は、JMATの派遣等、日医の活動を説明した上で、地震発生当初、県と政令指定都市との間で情報共有がうまくできていなかったことを問題視。「こういう時こそ、全国保健所長会が調整機能を発揮して欲しい」と、今後の同会の活動に対する期待感を示した。