日医役員が出席した主な外部審議会(8月31日~9月7日開催)の概要を紹介する。
―社会保障審議会介護保険部会―(報告・鈴木常任理事)
第62・63回社会保障審議会介護保険部会が8月31日、9月7日の両日、都内で開催された。
31日は、被保険者の範囲のあり方等について議論が行われた。
第2号被保険者の年齢を引き下げることに関しては、「制度の持続可能性を担保するためには、中長期的には被保険者の範囲拡大も避けられないが、現時点では時期尚早である」と発言。他の委員からも反対の意見が多く出された。
「自立支援・重度化予防を推進する観点からのリハビリテーション機能の強化」については、「通所リハは、老健と医療機関のみが開設主体であるため、通所介護との一体化は困難であるが、それぞれの質の評価は必要である」と主張した他、「中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化」では、小規模多機能型居宅介護などのサービスについて、「地域密着型サービスは、現場ではまだ使いにくいものもある」と指摘した。
その他、「ドイツの介護保険制度における介護手当(現金給付)」についても説明があったが、「日本でドイツのように現金給付を制度化すれば、介護保険制度の理念が失われるだけでなく、介護負担が重くなる家族が増え、介護離職が増加するなど深刻な社会問題になるのではないか」と述べた。
7日は、(1)介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)、(2)保険者の業務簡素化(要介護認定等)、(3)認知症施策の推進―について議論が行われた。
(1)では、行政が求める文書量の半減を強く求めるとともに、ICTを活用したペーパーレス化による書類の簡素化だけでなく、必要な書類を同一化する必要があると主張した。
(2)では、「更新認定有効期間の上限を36カ月にすること」が提案された。
議論では、今回の提案に賛意を示した他、状態安定者の二次判定の手続きを簡素化することについては、「今後設定される要件が、現場で納得できるものになるかが重要になる」と指摘した。
(3)では、認知症初期集中支援チームの機能として、初期ではない中重度者、困難事例への対応も必要と指摘した他、「行政の縦割りや24時間体制ではない環境、個人情報保護などの問題に改善がなければ、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりは進まない」と述べた。