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平成28年(2016年)11月20日(日) / 日医ニュース

第69回日本医師会設立記念医学大会 受賞者の功績紹介

 日本医師会最高優功賞のうち、都道府県医師会長推薦による「医学、医術の研究又は地域における医療活動により、医学、医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し、特に功績顕著なる功労者」と、その受賞理由を紹介する。

奥山 保男 先生(83歳 宮城県)

161120h01.jpg精神保健福祉事業に著しく貢献した功労者
 精神科指定病院を中心に、42年にわたり、急性期・慢性期の障害を持つ患者の治療に尽力。更に、宮城精神保健指導医として、気仙沼地域の精神保健相談を担うとともに、20余年にわたり障害児巡回相談を実践。
 また、特別養護老人ホーム、知的障害者更生施設の嘱託医として、入所者のメンタルケアと健康保持増進に当たり、住み慣れた地域で安心して生活が送れるよう、環境整備に取り組んだ。加えて、東日本大震災後には、被災者の心のケアに努め、PTSDの防止に貢献した。

針生 敬三 先生(84歳 秋田県)

161120h02.jpg広報活動を通じて医療における県民意識を高めた功労者
 秋田県医師会役員として広報部門・健康教育部門を担当し、テレビ・ラジオ・活字メディアを通じ、県民に医療情報を的確に提供。10年間50本の制作に携わった番組「医療をささえる群像」は、その時々で問題となっている疾病や地域に根付いた医療の紹介から最先端医療にわたる内容にまで及び、県民に大きな影響を与えた。
 更に、健康教育として、県内郡市医師会における「医療を考える集い」の実施に尽力し、地域住民の健康意識の向上発展に多大な貢献をした。

中村 雅英 先生(74歳 福島県)

161120h03.jpg地域の医療・介護・福祉の充実・発展に貢献した功労者
 高齢者の慢性疾患への対応や長期療養が可能な病棟を自院に備えるなど、35年余にわたり「医療と介護の連携」を重視した地域医療の第一線で活躍。
 いわき市医師会理事・副会長を歴任中、医療と介護の多職種連携づくり、リビングウィルの作成や医療提供体制の効率化と医療の質の向上に努めるとともに、介護支援専門員の資質向上を図るなど、保健・医療・福祉のチームケアを推進し、地域包括ケアの確立に現在も尽力している。

永積 惇 先生(79歳 東京都)

161120h04.jpg脳卒中・認知症研究及びがん診療に貢献した功労者
 一貫して脳卒中と認知症研究に力を尽くし、両分野での多くの学会や研究会を主催。
 更に、平成12年から15年間、ワクチン療法研究施設長として、丸山ワクチン使用法の検討や、同ワクチンと化学療法との併用により、化学療法の効果が妨げられる報告はないことを証明するとともに、同ワクチンを使用している全国2,000名以上の患者家族の相談をいつでも受け付ける窓口を開き続け、家族全体を一単位としたアプローチを展開するなど、一筋に医療サービスに貢献した。

新海 毅 先生(72歳 神奈川県)

161120h05.jpg公衆衛生活動及び救急医療体制の充実に貢献した功労者
 戸塚区医師会役員を歴任中、医師会事業推進のまとめ役として、休日急患診療所の運営や戸塚区医師会訪問看護ステーションの開設に尽力。
 また、横浜市医師会では、肺がん検診あり方検討委員会委員等を務め、市域の肺がん検診事業の立ち上げから参画し重責を担うとともに、同市救急医療センター長を務め、一次救急医療の円滑な実施・拡充に抜群の指導力を発揮する等、地域における公衆衛生活動及び救急医療体制の充実に努めている。

佐野 正俊 先生(71歳 新潟県)

161120h06.jpg在宅医療の推進及び胃がん検診の充実に貢献した功労者
 在宅医療の連携を進めるため、現在では年5回定期的に開催されている多職種研修会「新潟市医師会在宅医療講座」を立ち上げた。
 また、新潟市が全国に先駆けて内視鏡検診を導入する際、感染防止や検査に伴うリスクマネジメントを織り込んだ新潟市独自のガイドラインの作成等、胃内視鏡施設検診システムづくりを先頭となって完成させた。本システムには厚生労働省も注目し、市町村の実施する「胃がん検診の指針」改定のきっかけにもつながった。

浮田 俊彦 先生(74歳 石川県)

161120h07.jpg母子保健の推進及び周産期医療の充実に著しく貢献した功労者
 金沢市の子宮頸がん検診への全国初となるヒトパピローマウイルス検査の導入や、インターネットによる医療情報等の連絡網であるハートネットホスピタルの整備などに力を注いだ。
 また、石川県医師会副会長として、死因究明システムの構築に大きく貢献するとともに、石川県産婦人科医会長在任中、石川県警察本部との協力の下に、石川県性犯罪捜査協力産婦人科医会の創設に尽力する等、母子保健の推進や周産期医療の充実に大きく寄与した。

川出 靖彦 先生(71歳 岐阜県)

161120h08.jpg公衆衛生活動及び地域医療連携の推進に貢献した功労者
 岐阜市医師会役員として病診連携システムの普及、結核予防等を中心とした感染症対策に尽力。臨床医のための結核菌検査の手順書を作成し、結核菌検査の正しい普及と啓発に努めるとともに、病院・医院を結ぶパイプラインとして病診連携と患者情報サマリーシステムを開発し、地域医療連携の推進に尽力した。
 また、ITを利用した地域医療連携の必要性を唱え、データ様式の標準化や医療連携ソフトの開発、個人情報を保護するための対策の確立等に努めた。

西城 英郎 先生(72歳 三重県)

161120h09.jpg在宅医療及び災害医療の推進に貢献した功労者
 鈴鹿市応急診療所の立ち上げと運営体制の充実、地域救急医療体制の整備や災害時医療対策の推進等に尽力。超高齢社会を踏まえて平成23年6月には「鈴鹿市地域包括在宅医療ケアシステム」を始動させ、主治医とケアマネジャーが中心となった多職種協働によるシステムづくりを推進した。
 また、災害時の対策として『大規模災害急性期対応マニュアル』と『大規模災害亜急性期対応マニュアル』を作成するなど、医師会医療班の総責任者として活躍している。

安達 秀樹 先生(71歳 京都府)

161120h10.jpg医療・介護保険制度の充実及び大腸がん検診の促進に貢献した功労者
 京都府医師会大腸がん検診委員会委員長として、『大腸がん検診総合マニュアル』や大腸がん調査票を作成する等、大腸がん検診の普及に献身的に取り組むとともに、大腸がん検診の受診率、精検受診率の低さを問題視し、行政に対し集団健診会場での検体回収を提言。現在ではその方法が定着し、受診率向上につながっている。
 また、「府民の健康を守る」という視点から、医療機関に対して保険診療に係る知識の普及・徹底に尽力した。

信原 克哉 先生(83歳 兵庫県)

161120h11.jpg整形外科医療の発展に著しく貢献した功労者
 開業以来45年間で腱板断裂修復術を4,600例以上行うなど、治療における追跡調査や分析結果は大変貴重なものとなっている。また、国内のみならず国外からの研修医師も多く受け入れ、医師の育成にも熱心に努めている。
 更に、病院敷地内に開設された研究所の運動解析スタジオと三次元運動解析システムを活用したスポーツ障害の動作解析は、プロからアマまでスポーツへの貢献度も高く、国内外の研究者にも広く教授するなど、長年にわたる研究成果は整形外科医療の発展に大きく寄与している。

田中 茂人 先生(76歳 岡山県)

161120h12.jpg地域医療体制の整備及び公衆衛生活動に貢献した功労者
 岡山市医師会役員等として、市民の健康保持増進に資するよう、関係機関・団体、地区組織との連絡・調整などに尽力。中でも、岡山市休日急患診療所(現、岡山市休日夜間急患診療所)、在宅当番医制(内科・小児科系)及び専門科医在宅当番医制(眼科、耳鼻科、産科、泌尿器科)による時間外診療体制の確保に努めるとともに、健診事業へも積極的に参画。
 また、行政との密接な協働により予防接種事業を推進する等、市民の健康保持増進に貢献した。

難波 幸一 先生(88歳 広島県)

161120h13.jpg母子保健及び産科医療に著しく貢献した功労者
 56年の長きにわたり、産科医療を通じて、地域の母子保健の向上に尽力。三原市の実施する妊婦・乳幼児健康診査及び妊産婦指導等に積極的に協力し、子どもと子育て家庭にやさしいまちづくりの推進に努めた。
 更に、三原産婦人科医会(三水会)を発会し、学習会、情報交換会を定期的に開催する等、市の産婦人科医の先頭に立って医療従事者の資質向上に注力するとともに、三原看護高等専修学校の教員に就任し、看護師養成に貢献した。

鉾石 武一郎 先生(84歳 愛媛県)

161120h14.jpg医師会活動を通じて看護師養成に著しく貢献した功労者
 松山市医師会役員として、「松山看護専門学校」設立に関わり、平成2年には学校長に就任。チーム医療の普及や訪問看護、介護施設等での看護職の需要増加を見越して、会員への看護職養成増員の必要性の周知・説明、行政等への定員増や補助金の要請に奔走し、看護学校新校舎を落成させたことは、現在の松山圏域の看護職の需給に大きな役割を果たしている。
 また、在宅介護支援センターを受託し介護保険に取り組む等、松山医療圏の社会福祉の向上に貢献した。

杉町 圭蔵 先生(78歳 福岡県)

161120h15.jpg臓器移植医療に著しく貢献した功労者
 昭和60年に西日本臓器移植ネットワークを設立。平成8年には九州初の生体肝移植を成功させるとともに、国内2例目のドミノ肝移植を成功させる等、肝移植の手術は70例以上に及び、国内の肝移植の基礎を築いた。
 現在では、研修会を開催し医療従事者の育成に努めている他、在宅医療の相談窓口となる「在宅総合支援センター」センター長として、本事業と医師会病院を連携させ、機能的な地域包括ケアシステムを構築するなど、医療と福祉の向上に努めている。

岩切 孔 先生(88歳 鹿児島県)

161120h16.jpg地域医療の充実及び保健衛生活動に貢献した功労者
 川内市医師会役員として、早くから、近代的救急医療や高度医療の施設改善を提唱する等、精力的に奔走し、市民が待望した総合的医療機能を備えた病院「川内市医師会立市民病院」を開院。
 また、43年間にわたり、学校医として児童・生徒の健康管理に寄与するとともに、看護職員等の養成にも献身的に取り組み、近隣4医師会と連携・協力し、鹿児島県北部初となる看護師養成施設「川内看護専門学校」を開校する等、地域の医療の充実・発展、社会福祉の向上に多大に貢献した。

知念 正雄 先生(79歳 沖縄県)

161120h17.jpg保健衛生活動を通じて麻疹撲滅に著しく貢献した功労者
 沖縄県で2度大きな麻疹の流行(平成11年以降)があった際、麻疹流行を撲滅すべく「はしか"0"プロジェクト」を発足。多岐にわたる活動を、プロジェクト委員会事務局長、委員長として全県的に取り組んだ結果、17年には麻疹患者発生ゼロを達成。本プロジェクトは、全国的に高く評価され、沖縄方式として各県で展開された。
 また、『中部地区医師会学校健診マニュアル』作成の委員長として、毎年改訂版の作成に貢献するなど、地域の保健衛生活動の円滑な運営に尽力している。

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