交通事故の患者を診て、この手の車は危ないと感ずることがある。自動車事故対策機構が公開している車の安全性評価の一部を紹介する。テスト車両は、身分を伏せた職員が通常の方法で入手したものである。
衝突時の乗員保護:車にいろいろな方向からの衝突を与え、車内のダミー人形の損傷を評価した。
最も人形の損傷が少なかったものはA社のセダンであり、僅差(きんさ)でB社のセダンが続いた。ボディの小さい車が概して不利であった点は、日常のイメージと一致する。
対歩行者の安全性:頭部及び脚部のダミーをはねて、それらの損傷を比較すると、最も損傷が軽かった車はC社の2500cc車であった。
意外にも、車のサイズや重さはダミーの損傷程度には関係せず、むしろ小さい車にはねられた群に重傷例が多かった。
自動ブレーキ:前方の車に対する衝突防止では、2016年にテストされた全車が評価基準の満点または満点に僅差であり、どの車も衝突せずに止まった。
一方、歩行者に見立てた人形に対するテストでは車種による差があり、D社のスポーツ車が最も安全に衝突を回避していた。本当の"自動"車に向けた技術の進歩を感じる。
同機構のホームページには、試験結果が車名入りで公開されている。更に急ブレーキ時の実測制動距離や、チャイルドシートの安全性評価も掲載されている。
米国のNHTSAやIIHS、ユーロNCAPなども、おのおのが行った評価結果を公開しており、参考になる。
日本では交通事故で死傷する生涯確率は何と50%を超える(国土交通省)! できるだけ安全な車に乗りたいものである。
(骨コツ)