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平成29年(2017年)3月5日(日) / 日医ニュース

受動喫煙防止対策の強化を求める

受動喫煙防止対策の強化を求める

受動喫煙防止対策の強化を求める

 今村聡副会長、羽鳥裕常任理事は2月15日、自民党本部で開かれた自民党政策調査会厚生労働部会に出席し、受動喫煙防止対策に対する日医の考えを説明した。
 厚生労働省は、多数の者が利用する施設等における受動喫煙の防止に係る対策を強化することを目的として健康増進法の一部を改正し、通常国会に提出することを目指しているが、建物内を原則全面禁煙とする厚労省案に対しては、外食産業などから強い反対の意見が出されている。
 今回のヒアリングはそれらの団体も含め、広く意見を聞くために行われたもので、日医を含めた8団体が出席した。
 今村副会長は、まず、「喫煙は、肺がん、脳卒中や心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患など多くの疾患の要因となり、年間死亡者数は13万人いること」「受動喫煙が原因の死亡者は1万5000人いること」など、喫煙及び受動喫煙の健康影響について説明。たばこは全ての年齢に影響するサイレントキラーであり、その恐ろしさを認識すべきであるとした。
 更に、同副会長は、①安倍内閣が「健康寿命の延伸」「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現」を掲げ、国内外に向けてさまざまな取り組みを展開している②「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」(政府が平成16年に署名し、翌17年発効)の第8条には、「たばこの煙にさらされることから全ての人が保護されるべきと明記されている」―ことに言及。「それら政府の取り組みを後押しするためにも、室内喫煙は単なるマナーや嗜好(しこう)の問題ではなく、国民の健康被害の問題として捉え、抜本的に受動喫煙対策の強化に取り組む姿勢を示す必要がある」と述べた。
 建物内禁煙について、飲食店の経営に影響を及ぼす等の懸念が出ていることに関しては、多くの国で飲食店等のサービス産業を含めて全面禁煙とする法律が施行されているが、平成21年に発表された国際がん研究機関の研究論文の中で、施行前後でその収入に変化はないことが既に証明されていることを紹介。
 喫煙室の設置が難しいことを理由として、飲食店の規模により例外を認めるかが焦点となっていることに関しては、「全ての飲食店を全面禁煙とし喫煙スペースを設けないことによって、利用者の受動喫煙は防止することができ、店舗の物理的な問題や費用の問題も解決することができる。一律の規制が公平である」とした。
 また、分煙に関しては、「その施設で働く従業員は常に受動喫煙をしていることになる。飲食店でアルバイトとして働く学生は非常に多く、特に若い女性従業員は、受動喫煙の影響を受けると、将来的に不妊や低出生体重児、出生後の乳幼児突然死症候群など、本人だけでなく、胎児や乳幼児への影響が懸念される」と述べた。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けては、「近年の開催都市では、全て罰則付きの受動喫煙防止法や条例が制定されており、2020年の東京大会までに日本でも国際水準の受動喫煙防止法や条例を制定することが不可欠である」と指摘。
 また、厚労省に対しては、喫煙者に自分のたばこの煙が周囲の人に害を及ぼしていることを認識してもらうためにも、国民に対して、受動喫煙により健康を害する恐れがあることを広く周知することを要望した。
 最後に、同副会長は、「YAHOO!ニュースの意識調査によると、約6割の国民が全面禁煙に賛成しており、この国民の声を無視すべきではない。受動喫煙防止対策を推進することは健康の保持増進に寄与することであり、国民の健康寿命の延伸を実効あるものにするためにも極めて重要」として、受動喫煙防止対策の強化を目的とする厚労省案に賛意を示し、その早期の実現を求めた。

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