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平成29年(2017年)4月20日(木) / 日医ニュース

中心にかかりつけ医を

 昨年の厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議の連携協定の締結を受け、各自治体で医師会の協力を得て、糖尿病性腎症の重症化予防を目的とした介入プログラムが作成されている。当県でも今年度からこの事業が進められる予定だ。
 事業主体の自治体では、保険者から特定健診の結果やレセプトデータの提供を受け、対象者の早期発見と未治療者・治療中断者への医療機関受診勧奨、保健指導などを行う。通院患者には、かかりつけ医と情報共有し、腎症のステージ如何(いかん)で専門医との連携も行われる。
 私の地区では、2年前から先行実施中だ。しかし、保険者からデータを提供された行政の担当者が、情熱のあまり、通院中の患者さんに直接、専門医受診を勧奨したところ問題が起きた。患者さんから、「かかりつけの先生に指導を受けているのに何故(なぜ)?」「あまり心配ないと聞いていたのに、どうして......」と、医師・患者間の信頼関係にひびが入りかねないような戸惑いの声が相次いだのだ。
 また、過剰な介入への嫌悪感から健診の受診手控えも起きた。すぐに運用が見直され、現在はかかりつけ医を中心としたシステムに変更し、問題なく経過している。
 どのような事業でも、患者さんを巡る人間関係の中心にかかりつけ医の存在があることに、もっと注目して頂きたい。
 ただ、多職種が関係する事業の場合は、医師との連携に苦手意識を持つ方々はおられるだろう。果たして私は、話しにくい医師、連携の取りにくい医師ではないだろうかと、日々、自省を繰り返している。

(和)

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