第139回日本医師会臨時代議員会が3月26日、360名の代議員(定数363名)出席の下、日医会館大講堂で開催された。 当日は、上程された「第1号議案 平成28年度日本医師会会費減免申請の件」が賛成多数で可決決定された他、各ブロックから提出された代表質問・個人質問に対して、日医執行部より回答を行った(回答の概要は別記事参照(代表質問)(個人質問))。 |
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冒頭のあいさつで横倉義武会長は、「多職種連携を密にし、『かかりつけ医』が地域の実情とニーズに柔軟に対応しながら地域医療を実践していくことこそが、国民に安心を約束し、効率的かつ質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築に向けた要諦(ようてい)である」と指摘。その実現のためにも、かかりつけ医機能の評価を高め、更なる普及と定着を図っていくことが、日医を挙げて取り組むべき、最大の課題であるとの認識を示した。
診療報酬と介護報酬の同時改定については、2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が全国で急務となる中で、医療と介護が一体的に提供される体制の要を担うことが「かかりつけ医」には期待されていると主張するとともに、過不足のない医療が提供できるよう、「人」に対する十分な財源の手当てを政府・与党に対し強く要望していくとした。
また、国民に対しても、安心して医療や介護を受けるためには何が必要か、そのコストを示しながら、広く理解と同意を求めていくとした。
働き方改革に関しては、①医師には医師法で、応招義務が課されている②一人前の医師として活躍できるまでには、10年以上の自己研鑽(けんさん)と、その後も日進月歩の医学・医療の習得に向けた生涯学習が必要な職業である③罰則を伴う労働時間への上限規制の性急な導入は、地域医療に相当な混乱を来す恐れがある―ことなどから、医療現場の実情を踏まえた上で、「労働時間の上限」と「応招義務」に配慮した方策を政府関係者らに対し、求めてきたことなどを説明。「その結果、政府は医師の残業規制を法施行後5年間猶予し、その間、勤務環境改善に向けた検討を行うとする内容が、『働き方改革実現会議』がまとめる実行計画の中に盛り込まれることになった」と述べた(別記事参照)。
また、医師偏在の問題については、「政府内での議論の進め方も含めて、大変危惧している」とした上で、医療界としての提言を取りまとめ、意思表示を行うために、会内に「医師の団体の在り方検討委員会」を新設したことを報告。「本委員会の報告書等を基に、また、各地域で独自に医師偏在対策に乗り出されている実例を支援し、積み上げながら、医師の自主性と自律性が担保されるよう、医師の偏在対策に向けた議論を牽引(けんいん)していきたい」とした。
その上で、横倉会長は、今後もわが国の医療政策をリードし、グローバルヘルスにも積極的に関わることで、全国の医師会員、更には世界医師会加盟の112カ国・地域に及ぶ医師会員の信託に誠実に応えていく決意を示し、代議員に更なる理解と支援を求めた。
会費減免申請の件を全会一致で可決
続いて、報告に移り、19の具体的な活動を重点課題とした「平成29年度日本医師会事業計画」については中川俊男副会長が、「平成29年度日本医師会予算」に関しては今村聡副会長が、それぞれ資料を基にその内容を概説した。
また、橋本省財務委員会委員長からは、財務委員会(1月6日開催)における平成29年度日本医師会事業計画及び予算案に関する審査の経過及び結果の報告が行われた。
引き続き、「第1号議案 平成28年度日本医師会会費減免申請の件」が上程され、今村副会長が、①適用者は合計1万4806名で、減免申請金額は4億6377万1千円であること②その内訳は、高齢の事由によるものが1万992名で4億1277万円、疾病その他の事由によるものが598名(東京電力福島第一原子力発電所事故による福島県相馬郡・双葉郡の避難者含む)で3052万3千円、出産・育児によるものが73名で220万8千円、研修医が3143名で1827万円―など、提案理由を説明。表決に移り、全会一致で可決決定された。
横倉会長のあいさつの全文等、臨時代議員会の詳細は『日医雑誌』5月号別冊をご参照下さい。