中川俊男副会長は4月27日、自民党本部で開かれた自民党政策調査会厚生労働部会に松本純一常任理事と共に出席し、薬価制度改革に関する日医の考えを説明した。
今回のヒアリングは日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3団体に対して行われたもので、各団体がそれぞれ平成28年12月20日に公表された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」等に対する意見等を述べた。
同副会長はまず、平成27年における医療費の伸び率が3・8%という、近年にない高い伸び率であったことに触れ、そのうちの2%以上が薬剤費と推計されると指摘。「このままでは公的医療保険制度が揺らぐのではないか」と懸念を示した上で、①新薬創出・適応外薬解消等促進加算②原価計算方式③外国平均価格調整④類似薬効比較方式⑤薬価調査⑥今後の検討―について説明を行った。
①では、「研究開発税制や補助金、日本医療研究開発機構(AMED)のファウンディング等を活用して、イノベーションを促すことが社会保障財源の節約につながり、まさに未来投資である」と述べ、公的医療保険制度の診療報酬をイノベーションの原資にしない形での新薬の評価を求めた。
また、「新薬の薬価算定の場合には、類似薬の新薬創出・適応外薬解消等促進加算部分は外すべき」と主張した。
②では、製薬業界が公表が困難としている製造総原価について、「製薬業界は公表の可能性について真摯(しんし)に取り組むべき」と指摘。国に対しては、原価計算方式の具体的な流れや仕組みについて説明することを求めた他、原価計算方式に用いるデータにも問題があるとした。
③では、公的保険ではないアメリカのメーカー希望小売価格も対象であること及び各国の販売量を考慮せず単価だけを相加平均することや、薬価収載後に外国平均単価が下がっているかがフォローされていない点等を問題視。更に、「原価計算方式では、基本的にそれだけで開発費等は賄えているはずだが、更に外国平均価格調整によって最大2倍にまで価格が引き上げられる」と述べ、制度のあり方に疑義を示した。
④では、新薬の比較薬について、新薬創出・適応外薬解消等加算の対象品目であった場合、新医薬品に当該加算が付くに等しいことや、市場規模や為替レートの変化が考慮されていないことを指摘した。
また、ソバルディやハーボニーのように、高額なバイオ医薬品を基準にして化学合成品の薬価が算定されるケースがあるとして、「製造工程、製造方法の違う薬は類似薬効の比較薬にするべきではない」とした。
⑤では、「2年に一度行われる従来の薬価調査と、その中間年に行う調査は、別物の調査として取り扱うべき」と主張。改定前後の在庫管理等、購入側調査(医療機関調査)の毎年実施は、新たな負担となるとした。その上で、購入側調査における医療機関側の負担軽減を要望した。
⑥では、「国民皆保険の持続性の観点から、あるべき日本型の費用対効果評価を検討すべき」と提案。その際、高すぎる医薬品を安くする形式に限定すべきとした。
また、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を踏まえて、現在、中医協において検討事項を整理し、平成29年末の骨子取りまとめに向け鋭意検討を進めていることを説明した。
最後に中川副会長は、「『国民負担の軽減』と『医療の質の向上』を実現する観点から、中医協において、具体的な検討をしっかりとやっていく」との決意を示し、当日出席の関係議員に対して協力と支援を求めた。