國井修世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)戦略・投資・効果局長による講演会が9月16日、日医と日医ジュニアドクターズネットワーク(JMA-JDN)の企画により、東京都医師会館で開催された。
冒頭あいさつした横倉義武会長は、「今年の7月、國井先生に若手の医師にご自身の経験を話して欲しいとお願いしたところ、快くお引き受け頂き、本日の講演会を実現することができた」と感謝の意を示した上で、参加者に対しては、「先生の話を聞いて、医師として進むべき道について考えて欲しい」と述べた。
引き続き、「ローカルからグローバル、そしてプラネットの健康を考える時代に、私が伝えたいこと」と題して講演した國井局長は、ソマリアやアフガニスタンなどの紛争地域、津波などで被害にあった地域で緊急医療援助、感染症対策などに従事してきた自身の経験を、写真を示しながら詳細に報告。
被災地や紛争地域などで活動する際に重要なこととして、①むやみに薬を投与するのではなく、エビデンスに基づいた医療支援を行う②誤った情報(うわさ等)によって現場に混乱が生じないように注意する③簡易トイレをつくるだけでなく、その後の衛生管理を徹底して行う④手洗いの推奨⑤煮沸ができない状況では、粉ミルクは提供しない⑥優秀な物質調達管理調整員を確保する―などを挙げた。
また、グローバルファンドが2002年に設立されたことにより、100カ国以上に予防・治療・ケアサポートが拡大し、2200万人以上が救われている一方で、「結核により今でも1000万人以上が亡くなっている」「多剤耐性菌も広がりつつある」など、依然として解決すべき課題は多いと指摘。今後については、環境破壊の問題も大きな課題になっており、地球を守っていくという観点が重要になるとの考えを示した。
その上で、参加者に対しては、「自分の働く場所を決めつけることなく、視野を広げるためにもいろいろな経験をしてもらいたい。夢を持っているなら、諦めずに追い掛け続けて欲しい」と呼び掛けた。