第6回「日本医師会 赤ひげ大賞」(主催:日医、産経新聞社、特別協賛:太陽生命保険株式会社)の受賞者が決定し、道永麻里常任理事が11月22日に都内で行った記者会見で公表した。
本賞は、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当て、その活動を顕彰することを目的として、平成24年に創設したものである。
受賞者の選考は10月6日に開催した選考会で行い、26道県医師会から推薦のあった31名の先生方の中から、藤巻幹夫先生(新潟県医師会推薦)、河井文健先生(静岡県医師会推薦)、塚本眞言先生(岡山県医師会推薦)、松原奎一先生(香川県医師会推薦)、水上忠弘先生(佐賀県医師会推薦)の5名(下掲)に決定した。
また、「東日本大震災の復興はいまだ道半ばである現状を忘れてはならない」との選考委員の強い思いを踏まえて、自らも被災しながら、被災者支援に当たった鎌田眞人先生並びに佐藤徹先生(いずれも宮城県医師会推薦)に対し、今回のみの特例として「選考委員特別賞」を贈り、その活動を顕彰することとなった。
なお、表彰式・レセプションは、来年2月9日に都内で行う予定。
受賞者の紹介
藤巻 幹夫(ふじまき みきお) 医師
90歳 新潟県 藤巻医院理事
診療地区は市内でも過疎高齢化が最も進む中山間地域の特別豪雪地帯である。昭和34年の勤務当初は、父が外来を、自らは往診を受け持ち、雪の中を7~8時間歩き往診したこともあった。新潟県中越地震の際は自院も被害を受ける中、被災者の診察に懸命に当たった他、40年以上にわたり予防接種の実施や学校医も担い、住民の健康管理に努めている。
河井 文健(かわい ふみたけ) 医師
77歳 静岡県 河井医院理事長・院長
地域唯一の救急告示診療所として、25年間昼夜を問わず救急医療に取り組む。交通外傷から内因性疾患まで幅広く受け入れ、2次救急を担う病院ができた後も搬送までの時間を考慮し、初期対応に尽力。病院と連携して検査機器の共同利用や遠隔読影等にも対応するなど、住民からの信頼は厚い。
塚本 眞言(つかもと まこと) 医師
67歳 岡山県 塚本内科医院理事長・院長
小規模多機能施設を医院に併設し、介護サービスを利用しつつ住み慣れた地域での看取りに力を入れる他、住民主体の組織「円城安心ネット」を立ち上げ、健康や福祉、生活などに関する活動を地域ぐるみで展開。また、公共交通機関が乏しい地域のため、介護タクシー事業を展開し、病院や診療所への送迎等、地域の高齢者の生活支援も行っている。
松原 奎一(まつばら けいいち) 医師
75歳 香川県 松原病院理事長
昭和43年より地域住民の健康保持増進に貢献。病気で来院する子どもの血液に異常値が多いことから、生活習慣病のハイリスク生徒への保健指導のため、学校医をしている中学校の1年生への血液検査を自費で開始し、異常があれば保護者に助言して事後の経過を見守った。現在では、その成果が認められ、全県下で検査が実施されている。
水上 忠弘(みずかみ ただひろ) 医師
73歳 佐賀県 水上医院理事長・院長
高齢化率が40%を超え、沿岸部や交通手段の乏しい山間地域で、34年間かかりつけ医として24時間体制で診療や往診を行ってきた。デイサービスと小規模多機能施設を開設している他、リハビリ室を無料開放。有床診療所を維持していることは治療から看取りまでの一生に関わることであり、住民の安心につながっている。また、31年間学校医も務めている。
選考委員特別賞
鎌田 眞人(かまだ まさと) 医師
59歳 宮城県 歌津八番クリニック理事長・院長
地区で唯一の診療所として地域に貢献。東日本大震災では自院が全壊する中、昼夜を問わず避難所を往診して傷病者の救命と治療に当たった。また、被災翌日より中学校体育館で医療活動を開始し、4日後には急きょ仮設診療所を立ち上げた。自身が経験した災害医療、極限状態における医療の提供を念頭に、新たな診療体制の確立に努めている。
佐藤 徹(さとう とおる) 医師
59歳 宮城県 佐藤徹内科クリニック理事長・院長
高齢化が顕著な南三陸町において、沿岸部・山間部にも訪問診療に出向き、学校医・産業医としても献身的に尽力。東日本大震災では自院が全壊し、直後は自身も避難所生活の傍ら、町内の避難所を巡回し支援を行った。半年ほど仙台市近郊で勤務医生活を送ったが、平成24年1月に再開業し、南三陸病院と連携の下、地域医療の再生に取り組んでいる。
順序は北から。受賞者の年齢は平成29年12月1日現在。