世界医師会(WMA)リガ理事会がラトビアのリガにおいて、4月26日から28日にかけて開催され、40医師会及び赤十字国際委員会等から約150名が参加した。
日医からは、横倉義武会長(WMA会長)、松原謙二副会長(WMA理事)、道永麻里常任理事(WMA理事)、角田徹東京都医師会副会長(WMA理事)、畔柳達雄参与(WMA医の倫理委員会、社会医学委員会アドバイザー)の他、日医ジュニアドクターズネットワーク(JMA―JDN)から三島千明、佐藤峰嘉両医師が出席した。
25日には横倉会長が、戦略的計画に関する役員会に出席。WMAの戦略計画において、全体的な方向性としてのミッションを定め、課題を明確にするとともに、毎年の進捗状況の確認、5年後に最終目標を定めるビジョンとしての計画のあり方を議論した。
引き続き、横倉会長はJDNミーティングに出席し、各国のJDNメンバーとの懇談を行った。
役員会議では、4月5日に締結された覚書に基づくWHOとの連携のあり方などが議論された。更に、横倉会長は、ラトビアのアンダ・チャクシャ保健大臣と懇談を行った。
理事会では、横倉会長がWMA会長報告として、本年4月5日にWHO本部においてテドロスWHO事務局長と覚書を調印したことを報告。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進と緊急災害医療対策について、WMAとWHOとが協力、連携して取り組んでいく上での大きな契機となるものであるとし、今後も、政府、国際機関、各国医師会に働き掛け、目標達成のためにWMA会長として最大限の努力を行っていくとの決意を述べた。
議事では、日医から「母子健康手帳の開発と普及に関するWMA声明案」「核兵器禁止に関するWMA理事会決議案」「WMA災害医療ネットワークに関する提言」の提案を行った他、道永常任理事が作業部会議長として、「持続可能な開発目標(SDGs)に関するWMA声明案」について説明を行った。
理事会での審議結果
(1)緊急決議として採択された文書
「核兵器禁止に関するWMA理事会決議」(日医提出)
「核兵器禁止条約」(2017年7月、国連で採択)に関わる既存声明の修正案がIPPNW(核戦争防止国際医師会議)からWMAに提出され、日医提案文書として議論に付された。
核兵器に関する世界的な脅威の増大や、核兵器が人間の健康と環境に及ぼす致命的な影響を考慮し、WMAには世界的に核兵器廃絶に取り組む責務があるとする内容の修正部分が理事会決議として採択された。
(2)医の倫理委員会関係
「遺伝学と医療に関するWMA声明修正案」、「医の国際倫理綱領」の作業部会が日医を含めて構成された。
(3)社会医学委員会関係
「持続可能な開発目標(SDGs)に関するWMA声明案」
採択のため総会に付託されることになった。
「母子健康手帳の開発と普及に関するWMA声明案」(日医提出)
松原副会長は、日本発祥の母子健康手帳が、母と子と家族の健康増進に大きく貢献してきた実績を紹介し、加盟各国医師会に対し、自国の保健当局、医療機関へその普及を働き掛けることを推奨した。
また、参考資料として、母子健康手帳の英語版を配布した。
本声明案は、コメントを求めるため、各国医師会に回付することになった。
「WMA災害医療ネットワークに関する提言」(日医提出)
東日本大震災発生時の被災地医療支援の経験を基に、グローバルレベルでの災害医療支援確立の重要性を示し、WMAにおいて災害医療ネットワークを構築していくための議論を重ね、日医が中心となって取り組みを進めていくことを提案し、了承された。
(4)財務企画関係
①今後の会議日程:
10月3~6日レイキャビク総会(アイスランド)
2019年4月25~27日サンティアゴ理事会(チリ)、10月23~26日トビリシ総会(ジョージア)
2020年4月16~18日ポルト理事会(ポルトガル)、10月21~24日総会(場所未定)
②WMA特別企画会議
・WHO総会開催時におけるWMA関連イベント:5月21~26日ジュネーブ(スイス)
・WMA医の倫理会議:10月2~4日レイキャビク(アイスランド)
その他、会期中、横倉会長らは、在ラトビア日本国大使館の藤井眞理子全権大使主催の夕食会に参加し、ラトビア医師会役員、ラトビア大学医学部教授他との懇談を行った。