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平成30年(2018年)6月20日(水) / 日医ニュース

出産・育児支援等日医の取り組みを説明

出産・育児支援等日医の取り組みを説明

出産・育児支援等日医の取り組みを説明

 女性医師支援公開講演会が5月20日、日医と日本女医会との共催により日本女医会の第63回定時総会に引き続き、都内で開催された。
 当日は、(1)日本医師会の女性医師支援の取り組み(今村定臣常任理事)、(2)女性医師の活躍は医療のかなめ(樗木晶子九州大学大学院医学研究院保健学部門長/教授)―の講演2題及び質疑応答が行われた。参加者は約80名であった。
 (1)で今村常任理事は、初めに、女性医師数が平成6年の約2・9万人から平成28年の約6・7万人へと顕著な伸びを示し、全体に占める女性医師の割合も12・7%から21・1%に上昇していることなど、女性医師を取り巻く現況について、データを基に概要を説明。次に、日医が、会内の女性医師懇談会、男女共同参画委員会、勤務医委員会、女性医師支援センター等の提案を受けて、厚生労働省等に働き掛けを行った制度等の整備状況と、日医における出産・育児支援や2020.30推進に関する取り組み、女性医師支援センター事業等について詳細に紹介した。
 続いて、日医の男女共同参画委員会と女性医師支援センターが共同で昨年8年ぶりに実施し、8月に報告書を公表した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」について、第1回調査の結果との経年変化を含め、その概要を報告。
 今回の調査結果によると、職場における男女共同参画の意識の向上や院内保育所等の環境は整備されてきてはいるものの、家庭内では十分な協力が得られていないと感じている女性医師が多い状況になっているとして、子育て支援の観点のみでなく、医師としてのキャリア形成の確保に向けた支援も重要な課題であるとの認識を示した。
 更に、同調査は病院勤務の女性医師を対象としているが、今後、研究者や診療所勤務の女性医師などへ調査対象を広げ、多様な視点での支援策を検討していく必要性も指摘した。
 (2)で、自身も3人の子育てを経験したという樗木教授は、世界と対比したデータを基に、低医療費政策の下、少ない人的資源でより多くの受診に対応しつつ高度な医療を行っている日本の医療提供体制の現状について、常勤勤務医の過酷な勤務状況では女性医師が子育てしながら働くのは難しいと指摘。これらに対しては、医師の労働条件の改善と多様な勤務形態の提供により、男女共にワークライフバランスを維持できることが根本的な解決策となるとした。
 その上で、平成19年に文部科学省からの資金を基に九州大学で始まった「女性医療人きらめきプロジェクト」を、平成22年度からは病院の自己資金で「九州大学病院 きらめきプロジェクト」として取り組んでいるさまざまな活動と成果について紹介。介護や自身の病気のために離職を余儀なくされる、男性も含めた医師全体のキャリアの継続と休職後の復帰支援や、働きやすい環境整備を行っているとした。
 同教授は今後、①医療関係者全体のしなやかなワークライフバランスのための制度やシステムの整備②女性医師自身もプロフェッショナルの自覚と誇り・責任と使命感を保持③インプット(労働時間)よりアウトカムが尊重されるような価値観の変換④多様な生き方の許容⑤国民(特に患者)の理解―等により、優秀な女性医師の活用が進めば、組織としての成果はより大きなものとなるであろうと結んだ。

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