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平成30年(2018年)8月20日(月) / 日医ニュース

加藤厚労大臣に医師の働き方改革に関する意見書を提出

加藤厚労大臣に医師の働き方改革に関する意見書を提出

加藤厚労大臣に医師の働き方改革に関する意見書を提出

 横倉義武会長は7月27日、今村聡副会長、松本吉郎・城守国斗両常任理事と共に厚生労働省を訪れ、日医が主催する「医師の働き方検討会議」が取りまとめた「医師の働き方改革に関する意見書」を提出し、加藤勝信厚労大臣と会談を行った。
 会談では、今村副会長が意見書について概説。「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の両立を医師の働き方改革の基本理念とし、今取り組むべき健康管理として、(1)労働時間の把握、(2)適切な産業医の配置と職務遂行、(3)衛生委員会の活用徹底、(4)健康診断に関する事項の取り組み徹底、(5)各医療関連団体による健康管理の取り組み推進―を挙げているとした。
 特に、医師の自己研鑽については、自己研鑽(けんさん)と労働が、臨床、教育、研究という3つの切り口でモザイク状に入り組んでいることから、まずは、「明らかな労働」と「純粋な自己研鑽」を明確化した上で、手術見学、学会発表、論文作成、文献検索等の「労働と自己研鑽の二面性のある活動」について、研鑽を妨げず、健康にも配慮した制度を具体的に検討する必要があるとの見解を述べた。
 また、医師の宿日直についても、通常業務がほとんどない宿日直、通常業務と同じ宿日直だけでなく、新たに、通常業務より少ない「中間的な働き方」に対応する制度を構築する必要があるとし、試案として「労働が全拘束時間に占める割合に応じ、勤務時間としてカウントし、割増賃金を支払うルール」を打ち出していることを紹介した。
 院外オンコール待機については、全て労働とみなすのではなく、病院に駆け付けて患者対応を行った場合に労働時間とするべきで、手当ての支給は個別判断に委ねるとした。
 長時間労働是正のための仕組みに関しては、「法定休日確保、勤務間インターバル、連続勤務時間規定をまず導入し、その上で順守可能な時間外労働時間を算出する方が、確実な休息確保という点でより実効性が高く、医療安全の面からも有効である」と強調。長時間労働の歯止めとして「医師の特別条項」を設け、特別条項を超えざるを得ない場合は「医師の特別条項の『特例』」で対応することを提言しているとした。
 更に、医療勤務環境改善支援センター、地域医療支援センター等を中心とした「第三者機関」を医事法制の中に規定することなどを盛り込んでいると説明。
 今後については、働き方改革に関する財源をあらゆる切り口で確保し、健康確保策に取り組むことを求めるとともに、「医療界として長時間労働の是正を進めるのが大前提だが、医師の働き方は通常の労働者と異なる特殊性がある。勤務医の労働法制を別途設けることも視野に入れ、医師の働き方に合った、より良い制度を構築することが肝要である」と述べた。
 これに対して加藤厚労大臣は、「当面の『医師の働き方改革に関する検討会』での議論において、労働と自己研鑽の間にある概念の議論にまで踏み込むことは難しい。労働か、そうではないかを切り分けた上で、労働時間について上限規制を含めて検討したい」と応じる一方で、これらの意見を課題として受け止めて議論を進めていく意向を示した。
 また、会談では横倉会長が、保険医療機関の施設基準及び適時調査に関する問題点を指摘した他、「平成30年7月豪雨災害による被災医療機関等の復旧支援に関する要望書」を提出し、全ての被災医療機関に対する支援を求めた。

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