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平成30年(2018年)9月20日(木) / 「日医君」だより / 日医ニュース

控除対象外消費税補てん状況の集計ミスに対し厚労省に厳重抗議

 中川俊男副会長は8月30日、厚生労働省で樽見英樹厚労省保険局長と会談し、控除対象外消費税補てん状況の集計ミスに対して、厳重な抗議を行った。
 厚労省は、平成27年11月30日に開催された「診療報酬調査専門組織医療機関等における消費税負担に関する分科会」(以下、消費税分科会)において、平成26年度の消費税率5%から8%への引き上げに伴う診療報酬での補てん率を報告していたが、集計ミスがあったとして、本年7月25日に開催された消費税分科会において、修正報告を行った。
 それによると、平成26年度の全体の補てん率は、平成27年には102・07%と報告されていたが、実際には約90・6%と10ポイント以上低く、特に病院の補てん率は報告されていた102・36%に対し、82・9%と約20ポイントも低いことが明らかとなり、医療界からは抗議の声が上がっていた。
 会談の中で中川副会長は、「本日は横倉義武会長の指示により、医療界を代表する思いで抗議に来た」とした上で、「平成27年時点で厚労省が丁寧な確認作業を行い、補てん不足を認識していれば、平成28年度、平成30年度の診療報酬改定で適正な対応がとられたはずである。それにもかかわらず、厚労省保険局は『マクロではおおむね補てんされている』としてこの状態を放置し、平成29年11月にできたはずの平成28年度の補てん率把握も行わず、各医療機関は過去4年にわたって機会損失を被り、経営難にあえぐこととなった」と指摘。多くの医療機関が多大な不利益を被ったことに対して厳重に抗議するとともに、速やかに対策を講じるよう要望した。
 加えて、「補てん率がたまたま想定の範囲内の結果であったという理由から、確認作業もおろそかにされたことは杜撰(ずさん)と言う他なく、厚労省の業務全体への信頼性をも揺るがすものである」とし、この問題に限らず、広く業務プロセスをチェックし、再発防止に万全を期すことを求めた。
 その他、中川副会長は、三師会・四病院団体協議会により「控除対象外消費税問題解消のための新たな税制上の仕組みについての提言」を取りまとめ、前日の29日に公表したことを報告。その実現に向けて全面的な協力を求めた。
 これに対して、樽見保険局長は「今回のミスは担当者がしっかりチェックしていれば防げたことである」として謝意を示すとともに、今後このようなことが起きないように対応したいと回答。また、控除対象外消費税問題解消のための提言に関しては、「厚労省としても、提言を基に消費税問題の解決に向けて全力を尽くしていきたい」と述べた。
 なお、今回の抗議に対する厚労省の回答は、樽見保険局長から次回の消費税分科会(9月19日開催予定)において示されることとなった。

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