松本吉郎常任理事は昨年12月19日の定例記者会見で、同日開催された中医協総会(写真)において妊婦加算の凍結が諮問・答申されたことを踏まえ、日医の見解を説明した。
本加算は、妊婦の外来診療について、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療に対する評価として、平成30年度診療報酬改定で診療・支払両側合意の下で創設されたもの。
同常任理事は、「産科・婦人科以外の診療科で妊婦への配慮を促す点数設定を行うことで、妊婦の診療に積極的な医療機関を増やし、安心して医療を受けられる体制構築につながることが期待されていたが、点数設定に反した取り扱いが判明し、妊婦の方に不快な思いをさせた事例が生じたことは大変遺憾である」と述べた。
その上で、「中医協には、前回改定の際の『答申書』附帯意見に基づく検討をベースに、改定の影響を調査・検証した上で、次回改定で修正する流れが確立しているにもかかわらず、創設から1年も経過していない中で、加算の凍結が諮問される手続きには大変違和感を覚える」と指摘。期中改定は、医療現場の混乱を招き、事務負担を増加させることから、今後は同様の事例をつくらないよう要望するとともに、患者や医療機関、審査支払機関等への速やかな周知を求めた。
また、今回の加算凍結による妊婦の自己負担が少子化対策に逆行するとの観点で行われたことについては、「診療報酬はあくまでも医療サービスへの対価であり、患者さんの自己負担という観点は、保険制度全体で議論するべきもの。患者負担の議論を一つの報酬項目で行うべきではなく、中医協における議論も医療技術を適正に評価するという観点で行うべきである」と強調。
更に、「今回、妊婦加算が凍結となっても、医療機関は他の患者さんと同様に状態に応じて一定の配慮をすることは当然であり、継続されるべきこと」とするとともに、「その意味でも受診の際、しっかりと妊婦であることを告げて頂きたい」とした。
日医としては、妊婦の診療のあり方を検討する場を設け、次回改定で再検討するという前提で今回の凍結に同意したものであるとし、今後は中医協において、患者調査などの検証調査を行い、妊婦と医療機関双方にとって有益な対応を議論していく姿勢を示した。
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