先日、横倉義武会長宛てに一通の手紙が一般の方から届いた。
手紙には、「ご自身が難聴で医師の話が聞き取りにくいこと」「最近の医師は常にパソコンのモニターばかりを見ていて、患者の顔を見ながら話すことがなくなっていること」など、ご自身の経験を基に投稿し、ブロック紙に掲載された紙面のコピーが同封されていた。
そして、手紙の最後には、「時代の流れと診察の効率化で、当然なのかも知れませんが、若い医師にはパソコンに向かって話を聞くことに何も疑問をもたない世の中になっているのではと危惧する次第です」とするとともに、「このようなことで困っている者もいることを知っておいて欲しい」との思いが綴(つづ)られていた。
多くの医師は、多忙な中で患者さんと日々向き合い、診療に従事しておられると思うが、カルテも電子化された昨今、私達の周りでもこのような医師の話を時々聞くようになった。
人は、顔を見て話されることで安心するものである。ましてや、不安を抱えて来院される患者さんにとっては必要不可欠なことであり、実際に顔を見ることで検査だけでは分からないことが明らかになることも多々ある。
医療は人が人を診るものであり、医師と患者さんの信頼関係があって始めて成り立つものである。
今回の手紙は患者さんの顔を見て話すという診療の基本を忘れてはいないか、日頃の自らの診療態度を改めて省みるきっかけとなる出来事であった。
(広報委員会)