横倉義武会長は11月20日、尾﨑治夫東京都医師会長、長島公之常任理事らと共に内閣府を訪問し、櫻田義孝東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣に、「2020年東京オリンピックマラソン競技のスタート時刻1時間半繰り上げに関する要望」を提出した。
2020年に東京で開催される第32回オリンピック競技大会では、マラソン競技のスタート時刻が午前7時に予定されている。今回の要望は、このスタート時刻を繰り上げなければ、熱中症リスクが極めて高いとみられる午前10時頃まで競技が続くことになり、選手のみならず、関係者や観客が熱中症になる危険性が高まるだけでなく、救急出動が増加することで医療機関や一般の患者にも影響が及ぶことになることを憂慮し、行われたものである。
会談では、横倉会長が要望書の全文を読み上げ、要望実現に向けた協力を要請。尾﨑都医会長は、「予定されている開始時刻では大きな影響が出かねず、医師として見過ごすことはできない。熱中症を防ぐことは医師会としての責務と考えており、ぜひご理解頂きたい」と述べた。
会談に同席した松本孝朗中京大学スポーツ科学部スポーツ健康科学科教授は、午前7時スタートの危険性を資料として提出した自身の研究結果を基に詳細に説明。都内の地下鉄、バスを終夜運転としてもらうことで対応は可能とした。
これに対して、櫻田大臣は、「医学的な見地からご提言を頂き、感謝申し上げる」とした上で、「熱中症対策が重要なことは我々も認識しており、さまざまな対策を検討している。今回の要望は、私からも組織委員会等にしっかりと伝えたい」と応じ、一定の理解を示した。
日医では、10月29日に同様の趣旨の要望書を森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員長らに提出しているが、12月には小池百合子東京都知事にも提出し、広く関係者の理解を求めることにしている。
なお、要望内容については、トーマス・バッハ国際オリンピック委員会会長も理解を示し、変更に向けた検討が開始されることになった。