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平成31年(2019年)3月5日(火) / 日医ニュース

韓国医師会調査団との意見交換会を実施

韓国医師会調査団との意見交換会を実施韓国医師会調査団一行と

韓国医師会調査団との意見交換会を実施韓国医師会調査団一行と

 ディージップ・チョイ韓国医師会長を団長とした調査団一行が1月31日、日医会館を訪れ、成育基本法や健康寿命の延伸、地域包括ケアの推進等について横倉義武会長らと意見交換を行った。
 日医からは横倉会長、道永麻里常任理事の他、鈴木邦彦前常任理事が出席した。
 意見交換会は、横倉会長のあいさつで開会。横倉会長はあいさつの中で、昨年11月1日に開催された日本医師会設立記念・医学大会等への参加に謝意を示すとともに、世界医師会(WMA)前会長の立場から、WMAのさまざまな活動に対する協力について感謝の言葉を述べた。
 また、これまで韓国の保健大臣や世界医師会長を歴任したティ・ジュン・ムン韓国医師会名誉会長やCMAAO議長、WMA理事を歴任したドン・チュン・シン氏らを通じて、友好・協力関係を育んできたことに触れ、「チョイ会長の下、この関係を更に深めていきたい」とした。
 あいさつの後、事前に同調査団から要望のあった項目等について横倉会長と鈴木前常任理事が講演を行った。
 まず、横倉会長が、「成育基本法について」をテーマに説明。「次代の社会を担う成育過程にある者の個々の尊厳を重んじ、全ての妊婦、子どもに妊娠期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供する」という同法の理念や、会内の「周産期・乳幼児保健検討委員会」が答申を取りまとめてから平成30年12月に同法が成立するまでの経緯等を時系列に沿って説明するとともに、同法成立の意義を強調した。
 鈴木前常任理事は、「健康寿命の延伸と地域包括ケアの推進について」をテーマに説明。日医の組織や日本の医療制度の特徴を概説した上で、健康寿命の延伸に向けた国や日医の取り組みとして、地域包括ケアシステムの現状や、日医がかかりつけ医を中心とした医療提供体制の構築を進めていることなどを紹介した。
 講演終了後の意見交換では、韓国調査団から多数の質問が寄せられた。
 まず、ソン・ジョン・ギョン韓国医師会常任理事からの、地域包括ケアが広がる中で健康保険ではカバーできない部分への対応に関する質問には、鈴木前常任理事が回答。要介護度3以上の人に医療と介護を同時に提供する必要があるとした他、軽度者に対しては地域の中で支援するだけでなく、介護予防を推進し、医師にも予防や健康増進に寄与してもらうことが重要との考えを示した。
 また、地域における介護予防の活動に本当に参加して欲しい人ほど参加率が低い現状があるとするとともに、参加してもらうための工夫が求められるとした。
 ヒョン・ウー・パク韓国医師会政策特別委員会分科会長からの、大学病院等を受診する患者が多過ぎることへの対応策を問う質問には、横倉会長が、日本も同様の問題を抱えており、紹介状なしで大病院を受診する場合等に定額負担を導入したことを紹介するとともに、日医として国民にかかりつけ医をもつことを呼び掛けているとした。
 ホン・ジュン・パク韓国医師会副会長からの、患者が大病院から地域に戻ってきた際の連携体制の在り方についての質問に対しては、横倉会長が日本では診療報酬上で在宅療養支援病院等を評価するなど、体制の整備が進んでいる一方、大都市の在宅医療は不足している現状があると説明。また、在宅医療専門の診療所が増えていることに懸念を示し、そういった診療所と地域の医師会の協力体制の構築を課題として挙げた。
 また、ヨンジュ・キム韓国医師会政策特別委員会分科会長から「高齢社会を迎える中で、韓国では政府主導の政策により医師にも負担が求められている」として、日本の現状を問われた横倉会長は、「高齢社会となり、社会保障費が伸びていく中、診療報酬改定等で十分な財源を確保するためには、医療は生活の中でなくてはならないものだと国民に理解してもらう必要がある」と強調した。
 その他、政策策定のための手順や政党・国会議員との協力関係等、日本医師連盟の活動についても質問が出された。
 最後に、チョイ韓国医師会長が、横倉会長、鈴木前常任理事の講演及び質問への回答に対する謝意を示すとともに、「これからも緊密な関係を続けていきたい」と述べ、意見交換会は終了となった。

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