フィリップWMA新会長と
フィリップWMA新会長と
WMA総会が10月16日から19日を会期とし、ヘルシンキ(フィンランド)で開催された。
日本医師会からは、WMA理事として角田徹副会長(WMA理事会副議長)、渡辺弘司常任理事(松本吉郎会長代理)、今村英仁常任理事が出席した。全体の参加者は50加盟各国医師会及び国際機関等から約200名であった。
総会式典では、フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領が来賓あいさつを行った。ルジェイン・アルゴドマニ第74代WMA会長が退任し、アショック・フィリップ マレーシア医師会元会長が第75代会長に就任した他、次期会長にはジャクリーン・キトゥル ケニア医師会元会長が選出された。
総会における主な議事内容は以下のとおりである。
(1)緊急事項
・「プラスチックと健康に関するWMA決議」
WMAが、各国、特に第5回政府間交渉委員会(INC―5)に出席している国々に対し、プラスチック汚染に終止符を打ち、プラスチックが人類と地球の健康に与える影響に対処し、健康分野におけるプラスチック製品の役割を検討するため、公正なプラスチック条約に署名するよう強く要請するもの。
(2)医の倫理委員会関係
採択文書
・「WMAヘルシンキ宣言」修正
2022年4月のWMA理事会で設置された改訂作業部会の下、地域別及びテーマ別の国際会議8回、パブリックコメント2回を実施し、議論が行われてきた。30カ月に及ぶ議論で作業部会が取りまとめた修正案が採択された。
今回の改訂では、研究に参加する個人の権利、主体性、重要性の尊重と、研究の有益性と価値について議論がなされた。その結果、脆弱(ぜいじゃく)な集団の保護の強化、臨床試験の透明性の向上、研究の公平性と公正性への取り組みの強化が規定された。
宣言全体を通じて「被験者」という記載が「参加者」に置き換えられた他、これまでヘルシンキ宣言はWMAの会員と関係者を対象としていたが、今回の改訂では、医学研究活動に携わる個人、チーム、組織を問わず、研究事業に関わる全ての人にこれらの原則を守るように求めるものとなっている。
また、研究者に対しては、脆弱なグループへの配慮や、研究がもたらす利益、リスク、負担がどのように配分されるかを慎重に検討するよう求めている。
・「生殖補助技術に関するWMA声明」修正
(3)社会医学委員会関係
採択文書
・「エピデミックとパンデミックに関するWMA声明」修正
・「大気質改善のための大気汚染の防止と削減に関するWMA宣言」
(4)財務企画委員会関係
今後の会議開催
2025年:4月モンテビデオ理事会(ウルグアイ)、10月ポルト総会(ポルトガル)
(5)学術集会
「健康と医療における不平等―どう取り組むか」をテーマとして開催された。
「予防とプライマリヘルスケアによって医療の公平性を高めるためにはどうすればよいか」をテーマとして行われたセッションでは、渡辺常任理事が「日本の健康診断制度―医療の公平性への貢献」について講演を行うとともに、パネルディスカッションにも参加した。
(6)その他
会期中、アジア大洋州医師会連合(CMAAO)ランチョンミーティングを開催し、意見交換を行った。