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令和元年(2019年)7月5日(金) / 日医ニュース

空中都市ラピュタ

 「ラピュタ」と言えば、宮崎駿監督の長編アニメ『天空の城ラピュタ』を連想する人は多いだろう。
 更に、「ヤフー」と言えば有名な検索サイトやオークションサイトが頭に浮かぶと思う。
 また、友人の会にて「ラグナグ」を知っていたのは数人であったが、「ラグナグ」を検索すると、レストランや競走馬などがヒットする。
 さて、「ラピュタ」「ヤフー」「ラグナグ」の3つのキーワードで、私が連想するのはアイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトによる小説『ガリバー旅行記』である。
 この小説は、子ども向けに編集された最初の2編が有名である。子どもの頃、船医ガリバーが小人の国や巨人の国に行ったりするのをワクワクしながら読んだ記憶がある。
 しかし、スウィフトの風刺作家としての真骨頂(しんこっちょう)は、その後の3編目にあるので紹介する。
 漂流しているガリバーが、バルニバービ国の領土内を磁力で空中移動する国王の宮廷、空飛ぶ島ラピュタに漂着する。以前、この国は豊かであったが、ラピュタにいる科学者達が非現実的な理論による中途半端な科学技術を無理強いしたため、殺伐としている。小説の中では、このような科学者達が高く評価されている点を痛烈に風刺している。
 もっとも、一見役に立たないような研究が素晴らしい成果をもたらすこともあるのは周知のことであるが、ガリバー自身はよほど気に入らなかったのだろう。
 4編以降には、今の日本を予測したかのような内容もあり、特にラグナグ国は興味深い。またの機会にご紹介する。

(フェランド)

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