厚生労働省「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の初会合が7月5日、都内で開催され、日医からは今村聡副会長、城守国斗常任理事が出席した。
本検討会は、2024年4月から医師に適用される時間外労働の上限規制の具体的内容等について検討してきた「医師の働き方改革に関する検討会」が取りまとめた報告書において、引き続き検討するとされた事項についての議論を目的として設置された。
具体的な検討事項としては、(1)医師の時間外労働の上限規制に関して、医事法制・医療政策における措置を要する事項(①地域医療確保暫定特例水準及び集中的技能向上水準の対象医療②機関の特定にかかる枠組み③追加的健康確保措置の義務化及び履行確保にかかる枠組み④医師労働時間短縮計画、評価機能にかかる枠組み等)、(2)医師の時間外労働の実態把握―等が挙げられている。
当日は、冒頭、吉田学厚労省医政局長より、「最速で来年の通常国会に必要な法的提案ができるよう、年内に一定の取りまとめをお願いしたい」旨のあいさつがあった後、互選により座長には遠藤久夫構成員(国立社会保障・人口問題研究所長)が選ばれた。
議論の中では、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など、地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)の医療機関について、「労働時間短縮にしっかり取り組んでいるか」などを、評価する組織(都道府県から独立した組織)について、さまざまな意見が出された。
「医療勤務環境改善支援センター」の機能強化を提案
今村副会長は、「2024年4月に新たな時間外労働上限を適用するためには、都道府県が2023年度中にB水準医療機関等の特定を終える必要がある。そのためには、評価機能による確認は遅くとも2022年度から行われなければならない」と指摘。具体的には医療現場を熟知していることが必要だとするとともに、都道府県に設置されている「医療勤務環境改善支援センター」の機能を強化し、活用することを提案した。
城守常任理事は、評価がスムーズにいくように、時短計画を国が指標として提示することや、「医療勤務環境改善支援センター」の実態把握が必要であると主張した。
その他、当日の検討会では、本年9月2日から8日までの間に、1万9000を超える病院、診療所(有床・無床)、老健施設、介護療養型医療施設、介護医療院に勤務する14万人超の勤務医を対象として、「医師の働き方実態調査」を行うことを決定した。
調査は、小池創一自治医科大学地域医療センター教授を代表者とする研究班が行うこととなっており、主たる勤務先とそれ以外での診療業務と診療外業務、上司からの指示の有無、宿日直などの調査をすることになっている。
調査票案について、今村副会長は「この実態調査は、極めて重要な調査だ」とした上で、医師の負担軽減を求めるとともに、現場の医師に調査の必要性が伝わるようなメッセージを付記することを求めた。
医師の働き方改革の推進に関する検討会 構成員名簿 家保 英隆(高知県健康政策部副部長) 今村 聡(日本医師会女性医師支援センター長) 遠藤 久夫(国立社会保障・人口問題研究所長) 岡留 健一郎(福岡県済生会福岡総合病院名誉院長) 片岡 仁美(岡山大学医療人キャリアセンターMUSCUT センター長) 城守 国斗(日医常任理事) 島崎 謙治(政策研究大学院大学教授) 島田 陽一(早稲田大学法学部教授) 鈴木 幸雄(横浜市立大学産婦人科・横浜市医療局) 堤 明純(北里大学医学部教授) 馬場 武彦(社会医療法人ペガサス理事長) 水島 郁子(大阪大学大学院高等司法研究科教授) 村上 陽子(日本労働組合総連合会総合労働局長) 森 正樹(日本医学会副会長/九州大学大学院消化器・総合外科教授) 森本 正宏(全日本自治団体労働組合総合労働局長) 山本 修一(千葉大学医学部附属病院長) |
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