金融庁のワーキンググループが出した報告書に、年金だけでは老後の生活は賄えず、2000万円が不足すると書かれていたので大騒ぎとなった。報告書は、投資を勧めるのが目的のようだが、それはさておき、年金制度は100年安心ではなかったのかと、野党やメディアから政府を非難する声が上がった。
しかし、政府が公に年金制度は100年安心と言ったことはないのだ。そもそも、100年先の社会がどうなっているのか誰も分からないのに、「そのままで100年安心の制度」など存在するだろうか。
権丈善一慶應義塾大学教授著『ちょっと気になる社会保障』に「100年安心バカ」というタイトルの頁がある。
以下抜粋―2004年の年金制度改革で導入されたのは、5年に1回の財政検証の際に、毎回その時点から100年先を見通して年金財政の均衡を図るというものです。そうした作業を5年に1回行うわけで、2004年から100年後までという意味ではないことは、制度の大枠を学ぶだけで理解できるはずです。
「100年安心は本当なのか?」という彼ら年金批判者たち......記者、研究者として難のある人たち(実名は本書でご確認下さい)の年金破綻論は、かつては素人にとても受けがよかったわけです......100年安心という言葉がこれからも希に登場するかもしれませんが、その文章が学者や研究者のものでしたら、彼らは2流どころか3流、4流と考えていいです。......僕は学生に100年安心という言葉を使うものをみたら「でたぁ、100年安心バカ!」と笑っておくように言っています。
(撥)