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令和元年(2019年)10月9日(水) / 「日医君」だより

全世代型社会保障改革に向けた日医の考えを説明

 横倉義武会長は10月9日、自由民主党の「人生100年時代戦略本部」(本部長:岸田文雄自民党政調会長)のヒアリングに招かれ、今村聡副会長、釜萢敏常任理事と共に出席し、全世代型社会保障改革に向けた日医の考え方について説明を行った。

 横倉会長は、まず、官邸で始まった全世代型社会保障改革について、財政論だけで議論が進むのではないかと懸念を表明。「人生100年時代の患者・国民の安心につながる議論とするためには、まずは超高齢社会、人口減少社会に向け、将来を見据えて医療全体のあるべき姿を議論することが何よりも重要だ」とした。

 その上で、日医の考え方を(1)予防の推進、(2)地域に根ざした医療提供体制の確立、(3)全世代型社会保障改革に向けて-の3つに分けて説明した。

 (1)では、日本健康会議の取り組み等を進めていることを紹介するとともに、「人生100年時代、生涯を通じて健やかに過ごすためには予防への取り組みが重要になる」と指摘。そのため、かかりつけ医の役割がますまず高まるとするとともに、予防の推進に向け、医師としても、学校医や産業医として地域で活動するなど、大きな役割を果たしていく考えを示した。

 (2)については、「これからは、外来機能の分化と連携をより一層進めていかなければならない」と述べるとともに、専門的な医療機能を担う病院は現在も選定療養によって、既にフリーアクセスに一定のハードルが設けられているが、それに加えて、1.再診時の定額負担があまり活用されていないことを踏まえ、実効性を担保すること2.対象医療機関を選定療養によって更に拡大することが必要だとした。

 また、このことに関連して、その導入が検討されている「外来受診時定額負担の問題」についても言及。「財政的に支えられないからと言って、ルールを変え、患者に負担を求めることは、国民皆保険の理念にも反する」として、「容認できない」と述べた。

 (3)では、自助・共助・公助のバランスを取りながら、時代に対応できる給付と負担の在り方という視点に立って議論することが重要だと強調。自助については、所得や金融資産の多寡に応じた負担を考えるよう求めた他、公助については、消費税一本足打法からの脱却として、死亡した場合の税のあり方や、内部留保を賃金や設備に回すようなインセンティブとしての課税を設けることを提案した。

 更に、共助については、雇用保険料をこれ以上引き下げずに、休業時の毎月の給付である健康保険での傷病手当金を雇用保険の傷病手当で賄うことを提案。こうした改革により、安心して就業できる全世代型社会保障制度を構築し、多様な働き方に対応すべきとした。

 その上で、横倉会長は、改めて、人生100年時代に向けては、社会保障の充実によって国民不安を解消することが重要だと強調。日医の考えに対する理解とその実現に向けた協力を求めた。

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