松本吉郎常任理事は12月11日の記者会見で、政府の「全世代型社会保障検討会議」において現在議論が進められている、(1)後期高齢者の自己負担割合のあり方、(2)外来受診時の定額負担のあり方、(3)市販品類似薬の保険上の取扱い―のうち、外来受診時の定額負担のあり方について、改めて日医の考えを説明した。
同常任理事は、まず、外来受診時の定額負担については再三、日医の会見等で考えを示していると前置きした上で、「財政的に厳しい状況であるからといって、ルールを変えて患者さんに負担を求めることは、社会保障としての国民皆保険の理念に反するものであり、断じて容認できるものではない」と改めて主張。「この考え方は日医だけではなく、医療界全体の総意である」と強調した。
「外来受診時定額負担」の具体的な問題点については、1.公的医僚保険で患者に最大でも3割までしか負担を求めないとしてきたこれまでの原則を破って負担を求めていくものである2.患者のアクセスを阻害するだけでなく、医療費が上昇する分を患者負担でまかなう仕組みである-ことなどがあると指摘。「公的医僚保険は、相互に助け合うことを基本理念としており、共助に基づかなくてはならない。外来受診時定額負担は財政論でしかなく、財政論に基づくリスクに応じた保険理論と、社会保障としての国民皆保険とは異なるものであり、財政的に支えられないからといって、ルールを変えて患者に負担を求めることは、社会保障としての国民皆保険の理念に反する」と述べるとともに、本主張は、12月6日開催の「国民医僚を守るための総決起大会」においても説明し、全ての参加団体に賛同頂いているとした。
また、同常任理事は現在、中医協で議論が進められている紹介状なしで大病院を受診した場合の受診時定額負担についても言及。「これにより、外来機能の分化・連携が進み患者の受療行動を変えることができれば、医師の働き方改革にもつなげることができる」として、外来時受診の定額負担との違いを強調。
その上で、「地域に密着した診療所や中小病院は、かかりつけ機能を果たしており、国民の理解も深まってきている」「早期診断・早期治療は医療の鉄則であり、患者のフリーアクセスはしっかりと守らなくてはならない」「専門的な医療機能を担う大学病院を始めとする大病院は、既に初診5,000円、再診2,500円という選定療養によってフリーアクセスに一定のハードルを設けている」-ことなどを説明し、「外来機能の分化・連携を更に進めるためには、再診時の定額負担の実効性を担保するとともに、対象医療機関の更なる拡大が必要」との考えを示し、「引き続き、中医協においてしっかりと議論していく」と述べた。
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